関西電力、企業統治の立て直しが急務


 関西電力の八木誠会長や岩根茂樹社長ら経営幹部20人が、福井県高浜町の元助役の森山栄治氏(故人)から総額約3億2000万円相当の金品を受け取っていた問題では、常務執行役員と元副社長がそれぞれ1億円を超える金品を受領していたことが明らかになった。

 現金のほか、商品券や金貨、スーツなどを受け取っていた。その多くは返却したというが、極めて異様である。

 元助役から金品受け取る

 関電が公表した社内調査報告書は、森山氏が高浜原発3、4号機の建設で誘致や地域の取りまとめに深く関わり、金品の提供は関電幹部に対する存在感を誇示しようとしたためと指摘。原発立地地域の有力者との関係悪化を恐れる意識が役員、社員にあり、たびたび暴言や恫喝(どうかつ)に及ぶ森山氏の性格のため、受け取りの拒否が難しかったとしている。

 報告書には、しぶしぶ金品を受け取ったように書かれているが、見返りに便宜を図ることはなかったのか。関電は森山氏に原発関連工事の情報を提供していた。さらに、森山氏が顧問を務めていたとされる建設会社の2018年度の売上高のうち、約6割が関電側から受注した工事だったことも分かっている。

 この建設会社は森山氏に、手数料として3億円を提供していた。森山氏は関電側との会食に建設会社の関係者を同席させ、その場で関電幹部に金品を渡したこともあったという。建設会社から直接金品を受け取った幹部もいた。これでは癒着を疑われても仕方があるまい。

 岩根社長は、問題発覚を受けた先月末の会見では、受領した幹部の氏名や品目の詳細について説明を拒んだ。しかし、国や筆頭株主の大阪市などから批判を受け、報告書の公表に追い込まれた。

 報告書は1年前に関電に提出されたが、取締役会には説明されず、金品を受け取りながら昇進した幹部さえいる。金品の取り扱いに関しても組織的に対応せず、受領者個々の判断に委ねられていた。

 目を覆うばかりの事態だ。八木会長や岩根社長は辞任を否定しているが、経営陣を刷新し、企業統治を立て直すことが急務である。

 東京電力福島第1原発事故以降、国民の間で原発への不安や不信が広がったこともあり、再稼働はスムーズには進んでいない。原子力規制委員会が13年7月に始めた安全審査に合格し、再稼働した原発は9基にとどまり、24基が停止している。

 こうした中、関電は4基を再稼働させてきた。安全対策工事中の高浜原発1、2号機については来年以降の再稼働を計画している。しかし、今回のような問題が生じれば地元の同意を得ることが難しくなろう。

 政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、30年の電源構成で比率20~22%を目指しているが、これでは原発への不信感が強まりかねない。

うみ出し切る徹底調査を

 今回の問題をめぐって、関電は新たに第三者委員会を設け、高浜以外の原発にも調査対象を広げる。徹底調査でうみを出し切る必要がある。

(当記事のサムネイルはWikipediaから引用いたしました)