サンマ不漁、資源管理強化を主導せよ
今年のサンマの漁獲量は、過去最低だった前年を下回る見通しだ。中国などの乱獲や水温上昇が影響したという。日本は国際的な資源管理の強化を主導すべきだ。
漁獲枠導入に中国が反対
水産庁は6~7月に行った調査で資源量減少を確認。2016年は11・4万㌧で水産庁が統計を取り始めた1977年以降の最低を記録したが、今年はそれをさらに下回り、3年連続で不漁となる公算が大きい。
不漁については、公海上での台湾や中国の漁船による乱獲が影響している。台湾の漁獲量は既に日本を上回り、中国の16年の漁獲量は約6万㌧と12年の約30倍に急拡大した。
サンマの鮮度を重視する日本は、中・小型船を使った排他的経済水域(EEZ)での漁を主流としている。一方、中国は日本の漁船をはるかにしのぐ規模の大型船を使用し、冷凍したサンマを専用運搬船で本国に運ぶ手法を取る。
日本は7月、8カ国・地域が参加して開かれた「北太平洋漁業委員会」(NPFC)で、国・地域別のサンマ漁獲枠導入を提案した。しかし中国のほか韓国やロシアも反対に回り、資源確保のために漁獲制限を行うべきだとする日本の主張は受け入れられなかった。
だが、このままでは資源が枯渇し、中国も結局は自分の首を絞めることになる。持続可能な漁業のため、漁獲枠設定を受け入れるべきだ。日本も働き掛けを強める必要がある。
サンマの国内価格は16年、東京都と札幌、名古屋、大阪の3市を合わせた平均卸売価格が1㌔当たり551円と、10年前の06年(357円)の1・54倍に上昇した。価格は高止まりが続きそうだ。大衆魚のサンマに庶民の手が届かないようになることは避けたい。それにはやはり外国の乱獲を防いで漁獲量を回復させることが求められる。
サンマに限らず、水産資源の管理に関しては国際的な協力体制が不可欠だ。ニホンウナギの稚魚であるシラスウナギの国内漁獲量は1960年代に100㌧を超えていたが、乱獲や生息環境の悪化で2013年には過去最低の5・2㌧まで落ち込んだ。14年に日本近海などで稚魚を取る中国、韓国、台湾と養殖量の2割削減で合意したものの、法的拘束力はない。強制力を持つ条約の締結には台湾や中国が難色を示している。
一方、資源の枯渇が懸念される太平洋クロマグロをめぐっては、小型魚(30㌔未満)の年間漁獲枠が中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の合意で決められている。日本は前回の管理期間で4340・5㌧に達し、漁獲枠(4007㌧)を超過した。
沖合と沿岸に分かれる漁の種類のうち都道府県が管轄する沿岸漁業で枠を守れず、全体の上限超えを招いた。このため、北海道や宮城県など25道府県で漁獲枠が減らされる。沿岸漁業では、漁獲量の未報告などのルール違反もあったという。
まずは日本が模範示せ
国際社会に水産資源の管理強化を訴えるのであれば、まずは日本が漁獲枠やルールを守り、模範を示さなければならない。