米、原油輸出増へリビアに圧力


政情不安がネックに

 米国の制裁でイランの原油輸出が大幅に減少するとみられることから、リビアの原油に関心が集まっている。原油価格を抑えたいトランプ米政権は、原油輸出の増加を求めリビアに圧力をかけているが、政情不安の続く同国からの安定供給にはまず、政治的、経済的安定の確保が不可欠だ。

 東西に分かれて武装勢力が衝突を続けているリビアでは、民兵組織「リビア国民軍」が、東部の原油輸出港を占拠、これを受けて日量85万バレルの輸出が止まったばかり。複数の情報筋がワシントン・タイムズに明らかにしたところによると、トランプ政権は水面下で、政府、武装勢力の指導者、石油企業幹部らに圧力をかけ、原油輸出の増加を迫っている。

 リビアの衛星放送「218TV」が7月10日報じたところによると、トランプ大統領がリビア国民軍のハフタル将軍ら、対立する武装勢力の指導者にメッセージを送り、直ちに原油輸出を再開しなければ、大規模な制裁を科すと警告、米軍派遣の可能性をも示唆した。

 リビアの原油は、同国の全輸出の95%を占める。しかし、国内の政界、財界は汚職が蔓延(まんえん)、トランスペアレンシー・インターナショナルの「腐敗認識指数(CPI)」では180カ国中171位であり、腐敗が政治的、経済的安定の足かせとなっている。

 そのため米国は、国連、欧州各国と共に、シリア中央銀行、国営石油会社に、イスラム過激派や武装勢力による石油収入の不正流用の調査を要求している。非政府組織(NGO)「国際危機管理グループ(ICG)」の上級アナリスト、クローディア・ガジニ氏は電話インタビューで、「調査を行うための確かな合意が交わされ、適切に管理すれば、突破口となる可能性はある」と期待を表明した。

(ワシントン・タイムズ特約)