キオスク時代
キオスク(kiosk)は宮殿を意味するペルシャ語「クシュク」に由来する言葉だ。その影響を受けたトルコ人たちが夏の別荘やあずま屋を「キョシュク」と称した。
オスマントルコの征服君主メフメト2世が1453年、ビザンツ帝国を滅亡させ、首都コンスタンティノープルをイスタンブールという名前で再建した際に、ここに建てた“タイル・キョシュク”が有名だ。その後、ヨーロッパや米国で公園に休息を取ったり音楽公演を行うためのあずま屋を造り、これをキオスクと呼んだ。今日では都心の街路や鉄道の駅などで新聞、タバコ、飲み物などを売る簡易売店を指す言葉として使われる。
情報技術の革命がキオスクの意味をもう一度変えてしまった。今度は無人の情報端末機だ。物品売り場や公共の場所に設置され、タッチスクリーン方式で情報伝達・注文・決済・登録などの業務を処理する。銀行の現金自動預け入れ支払い機(ATM)が代表的だ。今は政府機関の各種書類の発給から飛行機の搭乗手続きに至るまで、多方面で利用されている。
売り場の無人化時代が幕を開け、キオスクは大勢を占めつつある。若い層であればあるほどキオスクを好んで使う。待機・処理時間が短い上に、職員と直接対面しないので便利だということだ。キオスクは映画館、PC房(インターネットカフェ)、カラオケボックスなど、全産業にハイスピードで拡散している。
外食・流通業界でキオスクを導入する売り場が急増している。顧客はキオスクに食べ物を注文して決済する。全国の販売店の半分以上にキオスクを設置したロッテリアは売り上げ総額のうち無人売り上げの割合が40%に達し、今年中に50%を超えるものと予想されている。チキンのフランチャイズKFCは一部販売店に試験導入したキオスクを全ての販売店に拡大する計画だ。近所の路地裏の麺類の店にまでキオスクが押し寄せている状況だ。
最低賃金の引き上げなどによって人件費の負担が大きくなったことが、キオスクの拡散に一役買っている。業種によって差はあるが、キオスク1台がアルバイト学生3人分の働きをしているものと推算される。アルバイト学生がキオスクに取って代わられる身の上になった。高齢者や障害者など弱者階層はキオスクを使えないとか、不便だと訴えている。キオスクの副作用を心配する時になったようだ。
(7月18日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。