ハチドリに出会う
地球だより
ブラジルに来て驚いたことの一つが野鳥の色彩だ。サンパウロやリオデジャネイロなど都会に住んでいると野鳥を見る機会は少ないが、郊外に行くと、実に多種多様な南米特有の野鳥に出会える。
先日、地方に住む知人が持つ小牧場を訪問した。早朝に部屋から外に出ると、手すりの上に黄色い大きなくちばしが特徴のオオハシ(ブラジル名トッカーノ)が止まっていた。オオハシは、ルリコンゴウインコなどと並びブラジルらしさが漂う野鳥だが、野生の個体を間近で見る感動は、動物園とは違ったものがある。
その後、ベランダで朝食を食べていると、特徴のある羽音と共に小さな生き物が飛んできた。最初はハチかと思って身構えたのだが、すぐにそれがハチドリであることに気付いた。
ベランダの屋根に給餌器があり、ハチドリは甘い餌を求めて飛んできたわけだ。早速、部屋から双眼鏡を持って来て餌を求めてホバリングしている様子を観察した。
オオハシやインコの彩りも奇麗だが、ハチドリのそれは光沢のまじった緑と青、黒などが混在した見事な色彩で思わず息をのんだ。
どこまでも続く道路に赤茶けた大地、地平線に沈む真っ赤な夕日、そして日本ではまず見られない真っ青な空。ブラジルの自然は、さまざまな野鳥との出会いも含めて人知を超えた世界を体感するひとときだ。
(S)