衆院選投票日、危機克服へ針路の選択を
第48回衆院選がきょう投開票される。今回は「自民党・公明党」と野党勢力の「希望の党・日本維新の会」「共産党・立憲民主党・社民党」の3極で競う構図となった。消費税増税、憲法改正、安保法制、原発政策などを争点に、安倍晋三首相による政権運営継続の是非を問う選挙となる。
問われる各党の安保政策
今回、安倍首相が「国難突破解散」と命名した通り、北朝鮮問題や少子高齢化など、日本はさまざまな危機に直面している。
中でもミサイル発射を続ける北朝鮮への対応が喫緊の課題だ。国連安保理決議による経済制裁など国際社会が圧力を強める中、北朝鮮情勢が一層緊迫化することも予想される。一方、海洋進出を狙う中国は、日本近海で活動を活発化させている。こうした脅威から日本をどう守るのか、各党の外交・安保政策が今まで以上に問われる。
何よりも日本の安全保障の要となる日米同盟の緊密化を図ることが肝要だ。その点で、安倍政権が一昨年、集団的自衛権の行使を一部容認した安保法制を成立させた意義は大きい。
これに対する野党の賛否は二分している。希望、維新は、安保法制を評価する一方、立憲民主や共産は「白紙撤回」を唱える。この中で、希望はかつて反対した民進からの合流組を抱え、集団的自衛権の行使を認めるのかはっきりさせていない。
安保法制の廃止は、日米同盟に深刻な亀裂を生じさせかねない極めて無責任な主張だ。立憲民主は共産との選挙協力を進め、公約に普天間飛行場の辺野古移設の見直しも掲げたが、日本の安全保障の根幹に対する認識が問われる。
憲法改正に前向きな勢力が、改憲の国会発議に必要な3分の2を占めるかどうかも焦点だ。
自民、公明や改憲に前向きな希望と維新などを合わせると、3分の2に当たる310議席を上回る情勢となっている。
2014年の衆院選、16年の参院選を経て衆参で3分の2超を占めることになった。今回、改憲勢力が議席を伸ばせば、停滞ぎみの国会審議を後押しすることになろう。
自民は、改憲を初めて公約の柱に据え、「自衛隊の根拠規定追加」や「緊急事態対応」など4項目を明記した。連立与党の公明は環境権の明記を主張。希望は「9条を含め改憲論議を進める」とし、維新は教育無償化などを掲げている。各党で改憲項目にばらつきはあるが、選挙後、衆参両院の憲法審査会で活発に議論を交わすことで、国民の理解が進むことを期待したい。
このほか、国の存立に関わる問題は、人口減少・少子高齢化だ。出生率の向上のため、各党は教育無償化や待機児童対策などを打ち出している。将来にわたって日本が存続、発展していくために、大胆な政策を遂行することが求められる。
国の最重要課題が争点に
今回、改憲や少子高齢化への対応など国の根幹に関わるテーマが争点化されたことは歓迎すべきことだ。国の針路を見定めつつ、こうした課題に取り組むために必要な見識と危機を乗りきる覚悟を持った候補や政党に一票を投じることを願いたい。