天皇陛下、ハゼ標本と「再会」
41年前ベトナムに寄贈される
【ハノイ時事】ベトナムを公式訪問中の天皇、皇后両陛下は2日午後、ハノイの自然科学大学生物学博物館を訪問された。同博物館には天皇陛下が皇太子時代の1976年に寄贈したハゼの標本が保管されており、41年ぶりの「再会」となった。
魚類の専門家として知られる天皇陛下は、74年3月に同国南部のカントー川支流で採取されたハゼ標本の中から新種を発見し、学術誌で論文を発表された。論文に使われたハゼの標本は陛下の強い意向で76年にベトナム側へ贈られ、両国の友好の象徴として大切に保管されてきた。
思い出のハゼ標本を前にした天皇陛下は、「久しぶりに会えてうれしく思います。大事にしてくださって」と感慨深げ。案内役を務めたグエン・タイン・ナム館長に「自分が見つけた新種は世界的にも新種として定着しているのでしょうか」と質問される場面もあり、館長は「ベトナムでも世界でも新種として認められています」と応じていた。
同館には秋篠宮殿下が寄贈したオナガドリの剥製も展示されており、陛下は時折英語で質問もしながら熱心に御見学。ナム館長は視察終了後、「陛下が魚類だけでなく、他の生物についても深い知識を持っていると感じました」と振り返った。