両陛下、独立運動家記念館に ベトナム・フエ
「東遊運動」で日本に縁
ファン・ボイ・チャウ孫と御面会
【フエ時事】ベトナム公式訪問中で、中部の古都フエに滞在している天皇、皇后両陛下は4日午後、日本とゆかりがある仏領インドシナ時代のベトナムの独立運動家ファン・ボイ・チャウの記念館を訪問された。
チャウは1905年に来日し、ベトナムの若者を日本へ留学させる「東遊(ドンズー)運動」を指導した人物。東遊運動の末期、仏側の圧力で困窮したチャウらを静岡県出身の医師浅羽佐喜太郎が物心両面で支援したエピソードは、日越友好の象徴の一つとされている。
両陛下は敷地内にあるチャウの墓前で一礼した後、軟禁生活を送った家を再現した建物や、日本人有志が浅羽とチャウの交流を記念して建立した石碑などを熱心に御見学。チャウの孫でカナダ在住の医師ファン・ティエウ・カットさん(72)とも面会された。
カットさんは「祖父は日本との協力関係を密接にして将来を築いていこうとした。両陛下が訪ねてくれたことを知ったら大変喜んだと思う」と感謝。天皇陛下は「歴史というものを知って、現在やこれからの在り方を知るということはとても大事なことです。そういう意味でこの記念館は、日本にとっても大事なものと思っております」と伝え、握手を交わされた。
両陛下は続いて、青年海外協力隊員や在留邦人代表と滞在先のホテルで御面会。5日にはベトナム公式訪問を終え、タイのプミポン前国王弔問のためバンコクへ移動される。