厚遇で同盟重視を示す、日米首脳会談でトランプ氏
トランプ米大統領が英国のメイ首相に次いで安倍晋三首相を公式会談の相手として選んだのは、日米同盟を重視している立場を示す狙いからだ。
スパイサー大統領報道官は、トランプ氏が首脳会談後に安倍首相をフロリダ州の別荘に招待するなど厚遇を予定していることについて「日米関係と同盟の強化、経済的な深い結び付きを重視していることを示すものだ」と強調する。
トランプ政権内には、中国の強引な海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発に対して、日米の連携を深めていくことが不可欠だとの考えがある。
トランプ氏は先月28日の電話会談で、長女のイバンカさんが首相を高く評価していたことを話すなど好意的な態度を示している。米政府がイスラム圏7カ国出身者の入国を一時的に停止した措置に対して、海外からも批判の声が上がっていることから、安倍首相と良好な関係を演出し、超大国の指導者としての資質を示したい考えもある。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は7日付の社説で、トランプ氏がどのような態度で首脳会談に臨むのかは「日本だけでなく、他の同盟国からも注目されている」と指摘。また「トランプ氏が(沖縄県)尖閣諸島について米国の対日防衛義務を明確にすれば、世界秩序の担い手を続けると強調することになり、中国の攻撃性も抑止できる」と主張する。
ただ、会談でトランプ氏からどんな発言が飛び出すのか専門家も読み切れないのが実情だ。トランプ氏は先月31日、日本に対して「通貨安誘導」をしていると批判した。有利な交渉を持ち掛けるために相手を揺さぶる手法とみられるが、会談でも為替・通商政策で強気の態度を示す可能性がある。
(ワシントン岩城喜之)