メキシコ大統領、訪米中止


首脳会談をキャンセル

 メキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領は26日、トランプ米大統領が「(メキシコが)国境沿いの壁の建設費用を支払わないなら、首脳会談を中止したほうがよい」とツイッターを通じて発言したことを受け、米ワシントンで31日に予定されていた両国首脳会談開催と一連の訪米行事を中止すると発表した。

トランプとペニャニエト

米大統領選候補当時のトランプ氏(右)と共同記者会見に臨むメキシコのペニャニエト大統領=2016年8月、メキシコ市(AFP=時事)

 発表は、26日朝(日本時間26日夕)ペニャニエト大統領のツイッターを通じて行われ、同氏は「けさ、ホワイトハウスに対して(トランプ大統領との)首脳会談に出席しない意向を伝えた」とのメッセージを投稿した。同氏の投稿は、「互いの国益のためになるのであれば、いつでも米政府と協議を続ける用意がある」と続いた。

 トランプ氏は、25日に米国とメキシコの国境沿いに壁を建設するための大統領令に署名、メキシコ国内では野党を中心に「ペニャニエト大統領は訪米を中止するべきだ」と世論が反発、低迷する国内支持率に直面しているペニャニエト氏は厳しい判断を迫られていた。

 一方、トランプ氏の今回のツイッターは、メキシコ国内で強い反発を招いており、現地紙は野党政治家や政治アナリストのコメントを掲載、多くが「トランプ大統領の発言はメキシコを侮辱するものだ」と厳しく批判している。

 メキシコ州知事委員会の議長でもあるラミレス、モレロス州知事は「メキシコに対する敬意がない以上、米国と何も合意はできない。トランプ氏によるこれ以上の攻撃は許し難い」と米大統領の発言を厳しく戒めている。

 また、メキシコ国内からは、米政権の動きや発言を受けてから対応に回るペニャニエト大統領を「弱腰だ」と批判する声も出始めており、米大統領の今回の発言は、今後の米国とメキシコの関係修復に厳しい制限をもたらした可能性もある。

 トランプ氏は、大統領選挙中から不法移民を米国から閉め出すべきだと発言、特にメキシコからの移民流入に関しては、同国との数千キロに及ぶ国境すべてに壁を建設すべきだと主張、建設費用はメキシコに払わせるべきだと発言して物議を醸していた。

(サンパウロ綾村悟)