「壁の費用は払わない」 メキシコ大統領が遺憾
メキシコのペニャニエト大統領は25日、トランプ米大統領がメキシコ国境への壁建設を正式決定したことを受けて「非常に残念で受け入れられない」と遺憾の意を表明するとともに、「メキシコが壁建設の費用を払うことはない」と、これまでの主張を改めて強調した。
一方、メキシコの野党はトランプ大統領の決定に一斉に反発、野党議員からは31日に米国・ワシントンで予定されているペニャニエト大統領とトランプ大統領の首脳会談の中止を求める声も上がっている。
ペニャニエト大統領は、米国訪問の中止や延期について一切の公式声明を出していない。が、ペニャニエト氏の国内支持率は約12%と低迷しており、国内世論や野党への対応を含めて、米政権の決定にどう対応するか厳しい判断を迫られている様子だ。
ペニャニエト氏訪米をめぐっては、AP通信がメキシコ政府高官の話としてペニャニエト政権が訪米中止を検討していると報道した一方、ロイター通信はビデガライ外相が「現時点での訪米中止の予定はない」と発言したと伝えている。
31日の首脳会談では、トランプ大統領が再交渉を求めている北米自由貿易協定(NAFTA)への対応が主な議題となる見通しだが、メキシコ世論や野党の圧力もあり、壁建設への対応も議題に上る可能性が高い。対応次第では、ペニャニエト大統領が、帰国後に国内世論からの厳しい反発に遭うことも予想される。
ペニャニエト大統領は昨年8月、米大統領選挙の最中に国境の壁建設を強調するトランプ氏とメキシコで会談を行っている。この時の会談に対して迎合主義だと世論から強い反発を受け、会談を提案したビデガライ財務相(当時)が辞任している。ビデガライ氏は、トランプ氏当選後に外相に任命された。
(サンパウロ綾村悟)