激戦の中、あす投票


2016米大統領選

期日前投票はクリントン氏先行 トランプ氏、逆転なるか

 今後4年間の米国の指導者を選ぶ大統領選は8日、投票日を迎える。政治経験のない共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)が女性初の大統領を目指す民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官(69)を猛追する展開で、支持率は僅差にある。接戦州も13州に増え、これらの勝敗の行方が選挙結果を左右することになりそうだ。

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 ワシントン・ポスト紙とABCテレビが6日発表した世論調査によると、クリントン氏が支持率48%で、トランプ氏の43%を5ポイントリードしている。1日に発表した同様の調査では、トランプ氏が支持率で1ポイント上回っていたが、クリントン氏が再び逆転した形だ。

 また、政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」(RCP)が集計した各種世論調査(10月28日~11月4日)の支持率平均値は、クリントン氏が44・9%で、トランプ氏の42・9%に2ポイント差をつけている。ただ、リードは誤差の範囲とされる3ポイント差以内にあり、予断を許さない展開といえる。

 RCPが世論調査結果を基にした大統領選挙人(計538人)の獲得予想は5日現在、クリントン氏が216人でトランプ氏が164人だった。情勢は流動的で毎日のように選挙人の獲得予想が変化しており、激戦州も13州にまでなっている。

 一方、米メディアは世論調査だけでトランプ支持者を把握しきれない部分があると指摘する。トランプ氏の主張に共感しながらも、周りの目を恐れて支持を公言できない人たちが一定数いるとされるためだ。ワシントン・タイムズ紙は、こうした「隠れトランプ票」が「恐ろしい力になる」可能性があるとしている。

 また、トランプ氏のわいせつ発言を非難していたポール・ライアン下院議長やトランプ氏と党指名を争ったテッド・クルーズ上院議員が、期日前投票でトランプ氏に入れたことも、同氏への投票に慎重だった共和党員を取り込む可能性がある。

 一方で、トランプ氏に投票しようと考えていたが直前になって躊躇(ちゅうちょ)し、クリントン氏に入れる人が出てくる可能性も指摘されている。

 また、NBCテレビによると、激戦州で一番の大票田であるフロリダ州では、期日前投票を済ませた共和党支持層のうち、28%がクリントン氏に投票している。これに対し、民主党支持層でトランプ氏に投票した人は6%だった。

 フロリダ州はトランプ陣営が連日、集会を開くなど最も力を入れている州の一つであることから、トランプ氏にとって厳しい数字といえる。3500万人以上が済ませたとされる全米レベルの期日前投票でもクリントン氏が先行しているため、トランプ氏の支持層である白人労働者の投票率がどこまで伸びるかが焦点となっている。

(ワシントン岩城喜之)