参院選投開票、政策や人柄吟味し選択したい
第24回参院選がきょう投開票される。来年4月予定の消費税増税を延期する安倍晋三首相の判断を受けた経済政策「アベノミクス」の是非がどう審判されるのか。自民党を中心とする改憲勢力が、発議に必要な3分の2以上の議席を占めるのか。首相が勝敗ラインに設定した自民、公明両党による改選議席(121)の過半数を獲得できるのか、が主要な焦点となる。有権者は、各党の政策や候補者の人柄を吟味し悔いのない選択をしてもらいたい。
アベノミクスを問う
選挙戦で安倍首相は経済政策を最大の争点に据えてアベノミクスの継続を訴えた。消費税増税の再延期に関し、衆院を解散せず「参院選で信を問う」としたためだ。首相は「前進か後退かを決める選挙」と位置付けた。これに対し野党の民進党は「アベノミクスは失敗」と断じた。
この選挙戦の最中に英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定したことで日本経済の先行きに不透明感が増した。有権者には自民、公明の与党が強調する「安定と継続」を選び経済対策をゆだねるのかの判断が求められよう。民進党は「成長と分配」の主張はあるものの成長に関する具体策が欠落しているため、アベノミクス批判ばかりが先行してきた印象が強い。
「自公対民共」の戦いの構図も今回の特徴だ。共産党が党史上初めて、公認候補を降ろしてまですべての1人区で野党統一候補の擁立を実現した。民進党としては、共産党の票を目当てに共闘したのだが安保法制廃止以外の政策は異なっている。これでは選挙目当ての「野合」と言われるのは当然だ。共産党の政策委員長が防衛費を「人を殺すための予算」と発言し更迭された。自衛隊の解消を党是とする同党との共闘が適切か否か考慮すべきだ。
外交・安保論議が低調だったことは残念だった。中国軍艦の12年ぶりの領海侵犯、接続水域入り、公船の領海侵入などが連発、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ムスダン」や潜水艦発射弾道ミサイルの発射など日本を取り巻く安全保障情勢は緊迫しているのに、野党からは安保法制の廃止ばかりが聞こえてきた。
一方の自民、公明も抑止力としての安保法制の重要性を訴える絶好の機会であったにもかかわらず、なぜ、議論を盛り上げ同法制の必要性をアピールしなかったのか。
憲法改正についても与党側からはほとんど聞かれなかった。首相は参院選後に改憲論議を進める意向を示してはいる。改憲政党が3分の2以上の議席を確保すると、首相の悲願である憲法改正は現実味を帯びてくるのが今回の選挙のはずだ。それだけに一層、真剣にその意義を訴えるべきだったろう。
主権者の意義自覚を
有権者には他にも雇用、女性、子育て、原発・エネルギー、農業、社会保障などさまざまな選択肢がある。参院選の投票率が長年、低迷しており、期日前投票が過去最多となったものの気掛かりだ。今回は特に、憲政史上初めて18~19歳の若い有権者が参加する国政選挙となる。主権者となる意義を自覚し積極的に投票してもらいたい。