ルーブル暴落と市民生活


地球だより

 両替所に掲示されたルーブルとドルの換金レートをみて、ため息を漏らす人をよく目にする。ルーブル安が一層進み過去最安値を付け、一時、1㌦84ルーブルまで下落した。

 これはドルに対して、この2年でルーブルの価値が半減どころか、39%程度まで下落したことを意味する。

 外貨建て住宅ローンを抱える人々が救済を求めデモをしている。返済額が倍以上に跳ね上がってしまったのだ。

 ロシアでは慣習的に、アパート代はドルで払う。ルーブルが紙くず同然になったソ連崩壊後のハイパーインフレを経験した人々は、稼いだルーブルをせっせとドルに換える。もちろん銀行も信用しておらず、タンス預金する。それを知っている大家が、最初からドルでの支払いを要求するためだ。

 ただ、さすがにこれだけルーブルが暴落すれば、「ドルで払え」という訳にもいかない。大家も仕方なく、ルーブルで家賃を受け取るようになった。「家賃は外貨で」というのはそもそも変な話であり、ここだけは正常化したのかもしれない。

 以前は市内のあちこちにさまざまな両替所があり、日本のガソリンスタンドの価格競争のように、両替レートを競い合っていた。しかし、モスクワ市の条例により、現在では主に銀行が運営する両替所だけとなった。

 それでも、「どこどこに行けばいいレートで両替できる」なんて話を耳にすることもある。ただ、筆者は以前、両替で詐欺にあったことがあり、少々のレートの差よりも安全を優先している。

(N)