雨のち晴れの日系人
地球だより
日本とブラジルの外交関係樹立120周年の記念行事がブラジル各地で開催される中、秋篠宮殿下御夫妻が、10月末から11月初旬にかけてブラジルを公式訪問された。
秋篠宮御夫妻は、11月1日と2日に、皇室として初めて沖縄系移民が多く住む南マットグロッソドスル州を訪問された。御夫妻は2日、午後2時に州都カンポグランデ郊外の日系クラブに到着される予定だったが、折しも、午後から亜熱帯特有の強いスコールが降り始めた。
その雨足の強さに、屋外で予定されていた記念碑の序幕式典が懸念されたのだが、幸い秋篠宮御夫妻の到着前には雨足が弱まり、記念式典とイベントは無事に終わった。
雨の中で御夫妻を待つ間、記者は2008年6月にサンパウロのサンボドロモ(サンバ会場)で開催された日本人移民百周年記念式典を思い出していた。
当日は、朝から数万人もの日系人を中心とする観客が集まり、さまざまなイベントやパレードが行われていた。多くの日系人が待ち焦がれていたのが、ブラジルを公式訪問されていた皇太子殿下のご来場だった。
当日は朝から雨模様だった。会場入り口で、記者証を用意してくださった日系人の男性が、「ブラジルでの苦労を思い出すような雨だ」と言葉をもらしたのが記憶に残る。
一方、イベントも午後に入り、皇太子殿下を乗せたクルマが会場内に入る頃には雨がやんでいた。そして、皇太子殿下が壇上に上ると、雲の切れ間から日の光が差してきた。
君が代が場内に流れると、会場のあちらこちらで、日系人の方々が眼に涙を浮かべながら、君が代を歌い、聞き入っている様子が印象的だった。
(S)