不祥事多い米スポーツ界
地球だより
熱烈な巨人ファンだった子供のころから、新聞のスポーツ欄を読むのが大好きだった。そのせいか、米国の新聞を読む時も、スポーツ欄から目を通すのが習慣になってしまっている。
さて、米国のスポーツ界をフォローしていて驚かされるのは、選手の不祥事の多さ。禁止薬物の使用や飲酒運転による逮捕などは日常茶飯事といっていいくらいだ。凶悪事件も少なくなく、2013年にはナショナル・フットボールリーグ(NFL)で活躍していた選手が殺人罪で逮捕されている。
昨年、大きな騒ぎとなったのが、NFLレイブンズのスターだったレイ・ライス選手による暴行事件。エレベーター内で婚約者に強烈なパンチを浴びせ、失神させた防犯カメラ映像は全米に衝撃を与えた。
選手の不祥事が後を絶たないのはなぜか。その大きな要因は、処分の甘さだ。日本なら永久追放となってもおかしくない事件でも、一定期間の出場停止処分で済むことがほとんどだ。
ライス選手にリーグが当初科した出場停止処分は、わずか2試合。その後、チームは同選手を解雇し、リーグも無期限出場停止にしたが、重い処分は“パンチ映像”が公になり、世論の批判が高まってからだ(リーグの処分は裁判で撤回)。
背景には、過ちを犯した者にもセカンドチャンスが与えられるべきだという米国の文化がある。だが、甘い処分が不祥事に対する選手たちの甘い考えを助長しているのは否めない。
スポーツ選手は子供たちに夢を与えるべき存在。競技者としてだけでなく、人間としても世の中の模範であってほしいものだ。(J)