報恩
韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」
“黒い目(文盲)”という言葉がある。文字を知らない人の意味で使われるが、「盲目の(雌)親烏」に由来する言葉だ。烏は卵を孵化(ふか)させ、ひな鳥を育てながら激しい産後の痛みによって目が見えなくなるという。それで、幼いひな鳥たちが逆に盲目の親鳥に餌をくわえて与える。烏を反哺鳥という理由だ。反は逆転させる、哺は食べさせるという意味なので、食べさせてもらったものを戻して返す鳥だという意味だ。それで孝鳥だ。
人間の母親たちも子供を産む時、170余りの骨が動くほど苦しいという。しかし自称「万物の霊長」である人間はどうなのか。極端な例ではあるが、たばこ代をくれないといって母親を殺害し、両親が老いて病気になったからとほったらかしにする世相だ。地球上の生命体の中で同族を殺す唯一の種が人間だという話まで広まるのはただごとではない。いつまで烏に頭を下げなければならないのか。
エボラウイルスが猛威を振るっていた今年10月、国立中央医療院の感染内科の看護師4人が辞表を出した。一部マスコミは大韓看護師協会長の言葉を引用して「エボラ感染に対する憂慮」のためだと大騒ぎした。すぐに真実が明らかになった。間もなくエボラ拡散を防ぐために行われた政府の西アフリカ派遣医療陣10人募集に145人も志願した。競争率が10対1を超え、胸がいっぱいになった。
その前に6月末、フィリピンの台風被害復旧のため派遣されたアラウ部隊の将兵たちが、韓国動乱参戦勇士を訪ね、家を修理してあげるテレビ番組が放送され、静かな反響を起こした。アラウ部隊の隊員が「今日の私たちのために払われたお若い時の犠牲に感謝いたします」と言うと、参戦勇士は「韓国動乱の時、私が韓国のために犠牲を払ったことで、韓国人たちが私を助けてくれているのは非常にうれしい」と言った。
「開かれた医師会」は国家報勲処の後援で、コロンビア、エチオピア、フィリピンなど、韓国動乱の参戦諸国を訪ねて医療奉仕を行っている。最近は南アフリカ共和国で医療奉仕を行った。来年からは物資支援国のカンボジア、ラオス、インドなど48カ国まで拡大する。報恩医療だ。干天の慈雨のような美しいことだ。
昔の諺(ことわざ)に、恩を知らない人種とは付き合うなとある。リトルエンジェルス芸術団が2010年、韓国動乱勃発60周年を迎えて、3度にわたって国連軍として参戦した16カ国を巡回しながら報恩公演を行ったのがこのような報恩活動の始まりだ。
(12月3日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。