マレーシア人約40人が「イスラム国」へ


地球だより

 イラクやシリアでイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が勢力を急速に拡大させる中、マレーシア人約40人が現地で同組織に属して活動していることが分かった。

 その40人の中には、国内治安法(ISA)に基づき身柄を拘束された経歴を持つ5人も含まれているとされる。

 また、マレーシアだけでなくインドネシアやフィリピンなど約60人も戦闘員としてイラクやシリアに渡ったとみられている。

 「イスラム国」は欧州が中東を勝手に線引きした国境を撤廃し、シリアからイランまで横断した国家建設をうたっているが、さらに領土を広げてマレーシア、インドネシアなど東南アジアにも国をまたいだイスラム国家を造る計画があることから、各国は自国のテロ対策とともに、過激派の渡航を防ぐ水際作戦に力を入れている。

 とりわけ人口2億2000万人と世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシアでは、既存過激派組織の一部がイスラム国支持に回っているほか、昨年には新たな過激派組織「イスラム法活動家フォーラム(FAKSI)」が設立されるなど不穏な動きがある。

 とりわけFAKSIはソーシャルメディアなどIT(情報技術)を駆使しながら、若者の組織化を図っているため、募った過激派がシリアやイラクなどの「イスラム国家」に流れないように海外渡航をブロックする必要に駆られているものの、恨みなど人の情念の負の部分を受け皿にした過激派の動きを止めるには、水際作線も重要だが格差社会の是正など、自国のありさまそのものに手を付けない限り難しい問題だ。

(T)