OBたちの国家代表
韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」
野球の若き有望株たちが大事を成し遂げた。29年ぶりにリトルリーグ(少年野球)のワールドシリーズで優勝したのだ。12歳以下のソウル市代表による韓国代表が今月25日に行われたワールドシリーズ決勝で米国のシカゴ代表を破り、1984年と85年の連続優勝以来、通算3回目の頂上に上り詰めた。地域予選を含め11戦全勝の完璧な優勝だ。韓国リトルリーグのチーム数は158しかない。約700が登録されている日本、2万を超える米国を相次いで破っての優勝なので、いっそう誇らしい。
各分野で将来を期して汗を流す若き有望株が多い。中でも芸術・スポーツ分野の有望株たちが活躍している。「国技」待遇のサッカーも例外ではない。幼い選手たちが国内外で名誉と富を夢見ながら実力を鍛え上げている。それなのに、どういうわけかサッカー界が選手不足に苦しんでいる。35歳の李東国(イドングク)、34歳の車(チャ)ドゥリがまたもや国家代表に復帰した。「オールドボーイの帰還」はいただけないという見方もあるが、李東国のような攻撃選手、車ドゥリのような守備選手がいないので仕方がない。プロのチームは外国人選手を迎え入れて使えばいいが、国家代表チームはそうはいかない。韓国サッカーの悲しい現実だ。
韓国政治の現実はもっと絶望的だ。信頼できる人材が見えない。それでも幸いなのは、人材はいくらでも外部から連れてきて使えることだ。しかし、いったん迎え入れさえすれば、それで終わりだ。実力を発揮できるようにたゆまぬ関心と支援を注ぐことはない。自分の技量を発揮してあるべき地位を確保するのは、全面的に本人に委ねられる。特定の分野で実力を認められた人材が、政治に足を踏み入れて元も子もなくなり、落伍(らくご)していくケースはいくらでもある。
韓国政界で外部からの“輸血”は絶えず行われてきたが、普通は知り合い同士とか、親しい者同士が切り回す。口実がなくなると、よく知られているという認知度を持ち出す。水車を回しても、何回も回して流れていったオールドボーイたちが再び帰ってくるのはそのためだ。75歳の青瓦台(大統領官邸)秘書室長、71歳の与党議員、77歳の駐日韓国大使、さらに78歳の韓国観光公社監査まで。国民の民心を溶かし込み、あらゆる世代を包容する“溶鉱炉政治”を行うのに不足はない。せっかく国家からお呼びがかかったのだから、国家代表として任された職務に最善を尽くしてもらうよう願いたいものだ。(8月27日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。