「共産主義は全世界で失敗」―バイデン米大統領


キューバの国民抑圧を糾弾

15日、ワシントンで記者会見するバイデン米大統領(UPI)

15日、ワシントンで記者会見するバイデン米大統領(UPI)

 バイデン米大統領は15日、反政府デモが起きた社会主義国家キューバについて、「残念ながら、キューバは失敗国家であり、市民を抑圧している」と厳しく非難した。

 また「共産主義は全世界で失敗したシステムだ。社会主義もあまり有用な代替策とは見ていない」とも明言し、強硬に対応する姿勢を示した。

 ドイツのメルケル首相との記者会見で、記者からの質問に答えた。バイデン氏は、トランプ前政権が強化した米国からのキューバへの送金規制を緩和することについて、「当局に押収される可能性が非常に高い」として、現時点では行わない考えを示した。
(ワシントン・山崎洋介)

 また新型コロナウイルスのワクチンをキューバに提供することについては、「国際機関によって接種が行われ、一般市民に届く方法で行うことが保証された場合、かなりの量のワクチンを提供する準備ができている」と表明した。

 キューバ国内で、フェイスブックなどのソーシャルメディアへのアクセスが制限されていると伝えられていることにも触れ、インターネットへのアクセスを復旧することが技術的に可能か検討しているとも語った。

 米国とキューバは、オバマ政権時代に国交回復が進められたが、トランプ前大統領は渡航制限や商取引規制など強硬策に転換。オバマ政権時代に副大統領を務め大統領選でトランプ政権の強硬路線からの転換を公約に掲げたバイデン氏がどういう方針を打ち出すか注目されていた。

 キューバ情勢への対応をめぐっては、野党・共和党からは、バイデン政権の取り組みが不十分だとして批判の声が上がっていたほか、キューバの圧政から逃れてきたキューバ系移民が多く住むフロリダ州の民主党は「失敗した社会・共産主義体制の指導者に対する追加の制裁」を求める決議を行っていた。こうした党内外からの圧力もバイデン氏がキューバへ強い姿勢を示す背景にあったとみられる。