コロナ流出説で方針転換「陰謀論」から「有望な説」へ
新型コロナウイルスの起源をめぐり、米国で以前は「陰謀論」などとレッテルを貼られ一蹴されていた中国・武漢研究所流出説が、有望な説の一つと見られるようになってきた。米フェイスブックは、新型コロナが人工的に作られたと主張する投稿を禁止する方針を撤回。流出説を否定していたメディアもその主張を転換し始めている。
(ワシントン・山崎洋介)
フェイスブックは26日、公式ウエブサイトで「新型コロナの起源に関する進行中の捜査を踏まえ、公衆衛生の専門家と協議の上、新型コロナが人工的に作られたという主張を当社のアプリから削除しない」と述べた。
フェイスブックの発表に先立ちバイデン大統領は26日、新型コロナの起源をめぐり、自然発生説とともに研究所流出説について情報機関に追加調査を命ずる考えを明らかにしていた。米国では研究所流出説が徐々に受け入れられるようになってきており、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が23日、中国の武漢ウイルス研究所の研究者3人が2019年11月に体調不良となり、病院で治療を受けていたことが米情報機関の報告書で明らかになったと報じたことも議論が再燃するきっかけになった。
こうした状況の変化を踏まえ、米メディアもその主張を転換し始めている。
ワシントン・ポスト紙で事実を検証する「ファクト・チェック」を担当するグレン・ケスラー氏は25日、研究所流出説が「かつてはばかげた陰謀論として却下されたが、新たに信用性を得ている」と指摘した。だが、これまで研究所流出説について「事実上不可能」などと否定してきたのはケスラー氏自身で、その立場を突如、転換させたことになる。
一方、研究所流出説を主張してきたトランプ前大統領は同日の声明で、「私には(流出説が)初めから明白だったが、いつものようにひどく批判された。今では皆が『彼は正しかった』と言っている。ありがとう!」と、自身の主張に反対してきたメディアを皮肉った。