自販機の復活
自動販売機の歴史は約2200年前にさかのぼる。文献に記録された最初の自販機は紀元前215年、エジプトのアレクサンドリア神殿に設置された“聖水自販機”だ。古代ギリシャの科学者ヘロンが書いた『空気力学』で紹介されているが、誰が発明したのかは分かっていない。上側の穴にコインを入れると、てこの原理で下側の穴のふたが開いて水が流れ出てくる方式だった。現代式のコイン投入自販機が初めて登場したのは英国だ。ウエスト・ヨークシャーにあるウエイクフィールドのセミアン・デンハムは1857年、1ペニーのコインを入れると切手が出てくる自動販売機を発明して特許を取った。
わが国最初の自販機は、1973年に産児制限政策によって導入された避妊器具の自販機だった。その後、77年にロッテ産業が日本のシャープ製のコーヒー自販機を400台余り輸入して設置した。国内の自販機産業は88年のソウルオリンピックを契機に爆発的に成長し、一時は“金の卵を産むガチョウ”と認識されていたが、コーヒーショップやコンビニの拡散によって衰退の道をたどった。2003年からマイナス成長を繰り返し、10年以降は大きく委縮した。
新型コロナウイルスの感染拡大により自販機が復活しつつある。自販機は非接触・非対面時代に最適な流通窓口として再評価され始めたのだ。最近、新しく登場した自販機はモノのインターネット(IоT)と情報通信技術(ICT)を適用した進化型だ。国内には精肉自販機、アイスクリーム自販機が続々登場した。精肉自販機は新型コロナ禍以後の売り上げが30%も増加し、機械設置の問い合わせも2倍以上増えたという。酒類の自販機もすぐに登場する見通しだ。消費者が成人認証を行って物品を取り出すと、人工知能(AI)が自動決済する方式だ。
“自販機天国”日本では接触を最小化するために手で触れずに足で操作する自販機がお目見えした。電子マネーや非接触式の決済機能を導入した自販機も登場した。機械の誤作動や現地の小売り商圏の侵害問題などは解決しなければならない課題だが、自販機市場は当分の間、再び成長するものと見られる。市場調査機関のリサーチ・アンド・マーケットはスマート自販機のグローバル市場規模が27年には170兆ウォンに達するものと展望している。新型コロナによる非対面時代に泣かされている企業が自販機を通してでも活路を見いだしてほしいものだ。
(10月20日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。