米政権、中国の窃盗に警告へ
ワクチン研究狙いサイバー攻撃か 米紙報道
米紙ニューヨーク・タイムズは11日、中国が新型コロナウイルスのワクチンに関する研究データなどを盗むためサイバー攻撃やスパイ行為を行っているとして、米政府が近く警告を発する方針だと報じた。
同紙が複数の米当局者の話として報じたところによると、連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省は、警告の草案で、中国が「ワクチンや治療法、検査に関する知的財産や公衆衛生データを不正に入手しようとしている」と非難。サイバー攻撃に加え、研究者や学生ら「非伝統的な活動主体」が、大学や民間の研究所からのデータの窃盗を図っていることにも焦点を当てている。
こうした動きは、米中両国でワクチン開発競争が激化する中、中国による知的財産窃盗に対する国家安全保障上の懸念が一段と高まっていることを反映している。
米当局者が同紙に語ったところによると、こうした警告は、米サイバー軍や国家安全保障局(NSA)が関与するより広範な抑止戦略の一部だという。トランプ政権は一昨年9月の「国家サイバー戦略」で、先制サイバー攻撃も辞さない姿勢を示している。
同紙によると、米国は一昨年11月の中間選挙直前に偽情報を広め選挙干渉を図ったとして、ロシアの情報機関に対してサイバー攻撃を実施した。ただ、今回、米国がサイバー戦を指揮する中国の「戦略支援部隊」などにこうした反撃を行ったかどうかは不明だという。
トランプ大統領は11日の記者会見で、報道について「中国が今になって始めたことではない」と指摘。その上で、「私は中国に対して不満だ。非常に注意深く見ている」と強調した。
(ワシントン 山崎洋介)