アルゼンチン大統領選、フェルナンデス元首相が当選
左派が政権を奪還
経済危機に見舞われている南米アルゼンチンで27日、現職マウリシオ・マクリ大統領(60)の任期満了に伴う大統領選挙が実施された。即日開票の結果、社会保障の拡大などを訴える左派アルベルト・フェルナンデス元首相(60)の当選が確実となった。就任は12月10日で任期は4年。
同国選管によると、開票率94%の時点でフェルナンデス氏が47・9%の票を獲得、1次選挙での当選に必要とされる45%を確保した。対抗馬のマクリ氏は40・5%だった。
フェルナンデス氏は、同日夜、「われわれの手に(政権を)再び取り戻した」と勝利宣言した。
アルゼンチンでは、市場重視型のマクリ大統領の下で、財政引き締めによる経済の立て直しが進んでいたが、今年4月に新興国を中心とした通貨危機が勃発して通貨ペソが暴落、インフレが進む中で市民から不満の声が上がっていた。
また、マクリ政権は、国際通貨基金(IMF)から支援を受けて経済の立て直しを進めていたが、8月の予備選でフェルナンデス氏に15ポイント以上の差をつけられて大敗、そのことが市場の動揺につながってマクリ氏の改革路線が閉ざされた。予備選後、同国株価は40%も暴落した。
フェルナンデス氏は、選挙中に年金や社会保障費の増額を訴えることで生活苦にあえぐ市民から幅広い支持を得た。
しかし、新政権を待ち構えるハードルは高い。膨大な国債の債務再編に加えて、IMFとの再交渉も視野に入れているとされており、交渉次第では国際金融界の支持を失い、さらなる経済混乱に陥ることも考えられる。
(サンパウロ 綾村悟)