国民の声聞かない民主党
アメリカ保守論壇 M・ティーセン
弾劾手続き反対多数
長引く調査にうんざり
米国民はワシントンに明確なメッセージを送っている。トランプ大統領への調査にはもううんざりで、弾劾などしてほしくない。しかし、民主党はその国民の声を聞いていない。
ハーバード・ハリス世論調査によると、米国人の65%は、トランプ氏への弾劾手続きを開始すべきでないと考えている。60%は「事実とトランプ大統領の行動を見る限り、司法妨害には当たらず、共謀などなかった」というバー司法長官の主張に同意した。さらに58%は、「モラー報告を見れば分かる通り、…トランプ大統領の調査から次に進むべきだ」と考えている。
全体的に見ればトランプ氏の支持率は42・9%だ。トランプ氏を支持しないが、民主党による際限のない調査も支持しないという人が数多くいるということだ。
ワシントン・ポスト紙によると、「(民主党の)ペロシ氏率いる指導部の少なくとも5人が、非公開の幹部会合で、下院司法委員会での(弾劾)調査の開始を認めるようペロシ氏に求めた。そのうちの4人は同委の委員だった」。民主党のジョン・ヤーマス下院予算委員長は「弾劾手続きは避けて通れなくなるという見方が強まっていると思う」と断言した。
◇国民生活は後回し
音痴とはまさにこのことだ。
民主党が弾劾手続きを進めれば、有権者からは、民主党は政治を放り出し、調査を優先しているとみられる可能性が高い。ハーバード・ハリス調査では、国民の80%が、「議員は、トランプ大統領の調査よりも、インフラ、医療保険、移民の問題に取り組んで」ほしいと答えた。だが、そうなっていない。
民主党は、多数派を取り戻して5カ月たつが、何も成し遂げていない。医療保険、薬価、公共事業は、ほとんど進んでいないか、止まったままだ。
民主党が弾劾と調査を持ち出して話題となるたびに、有権者からは、国民生活を改善するための政策について何もしていないとみられる。トランプ氏は22日の怒りの記者会見で、ペロシ下院議長は、朝、隠蔽(いんぺい)に関与していると非難したかと思うと、夜には2兆ドルのインフラ整備計画での交渉を持ち掛けていると非難した。全くあり得ないことだ。
国民が調査してほしいと思っていることが一つある。政府が、2年という時間と何千億ドルもの税金を投入して、トランプ氏とロシアとの共謀について調べておきながら、何も出てこなかったのはどういうことかということだ。ハーバード・ハリス調査では、回答者の55%が「トランプ大統領へのFBI(連邦捜査局)の偏見が切っ掛けとなって調査は開始された」と答え、61%は「FBIでの不正の可能性について捜査する独立検察官の任命」を支持した。民主党は、捜査は魔女狩りだとトランプ氏をあざ笑うかもしれないが、大部分の国民は正しいことだと思っている。シューマー民主党上院院内総務はバー長官を「陰謀論を長引かせている」と非難するが、「ロシアとの共謀」は陰謀論ではなかったのか。
民主党は、トランプ氏が調査を妨害したと非難し、国民の信頼を失った。国民は民主党がうそをついていることを知っていたからだ。
この2年間、有権者は、上院と下院の情報、司法委員会の民主党委員が、トランプ氏がロシアと共謀した証拠を見たと言うたびに、不安な思いで聞いていた。トランプ氏はロシアの工作員で裏切り者であり、「その規模は恐らくウォーターゲート以上だ」という話を国民は聞かされた。こうして国民にうそをついた当の本人が今、「公正な」調査を妨害しているとトランプ氏を非難している。残念ながら、そんな話は誰も聞いてくれない。
◇嫌気差した有権者
民主党は事実上、モラー調査をやり直そうとしている。ばかげている。党派的な下院の委員会は本当に、モラー特別検察官が見つけられなかったトランプ氏とロシアの共謀の証拠を暴けるのだろうか。起きていない犯罪を隠蔽しようと捜査を妨害したと訴えたところで、誰も相手にはしない。
トランプ氏が「このインチキな調査を終わらせよう」と言えば、国民は支持する。民主党が弾劾を主張し続けば、嫌気が差した有権者の多くはトランプ氏支持へと回る可能性がある。
トランプ氏は民主党に一つの選択肢を与えた。弾劾へと進むか、超党派で政策に取り組むかだ。国民の考えははっきりしている。調査をやめて、政治に専念してほしいと考えている。民主党がその声に耳を傾けなければ、トランプ氏に2期目を与えることになる可能性がある。
(5月24日)











