恥ずべきブレナン元CIA長官

アメリカ保守論壇 M・ティーセン

ロシア疑惑で「共謀」主張
国民の信頼への裏切り

マーク・ティーセン

 

 モラー特別検察官は「トランプ陣営またはそこに関連する何者かが、ロシア政府と共謀、連携した事実を発見できなかった」。この問題に関して、釈明すべき人々がワシントンには数多くいる。

 トランプ大統領は大統領選に勝利するためにプーチン・ロシア大統領と共謀したと訴えた記者、識者らならず者の面々はとりあえず置くとして、何よりも狡猾(こうかつ)なのは、極秘情報を入手し、ありもしなかったこと、つまり、トランプ・ロシア共謀の証拠を持っていると米国民に思わせた面々だ。

 2016年に民主党のリード上院院内総務が、連邦捜査局(FBI)は、トランプ・ロシア共謀の証拠を持っていると主張するコミーFBI長官への書簡を公表した。「国家安全保障に携わるあなたやほかの高官らとのやり取りの中で、ドナルド・トランプ氏とその補佐官らとロシア政府との間に密接な関係があり、連携していたことを示す非常に重要な情報をあなた方が持っていることが明らかになった」とリード氏は断言した。リード氏は、どのような情報について言っているのかとの質問に報道官は、「この問題に関する秘密ブリーフィングが複数回実施された。言えるのはそれだけだ」と述べている。

◇「多くの証拠」主張

 トランプ氏は、下院情報委員会のシフ議長(民主)に辞任を求めた。当然のことだ。シフ氏は何度も、委員会は「共謀と連携の多くの証拠」を見つけ出したと言っていた。17年3月に報道番組「ミート・ザ・プレス」で、「具体的には言えないが、状況証拠以上のものがある」と述べ、その年の5月には、ABCニュースで、トランプ氏のロシアとの共謀は「その規模と範囲から見て恐らくウォーターゲート以上だ」と主張した。

 シフ氏は恥ずべきだ。しかし、シフ氏だけではない。民主党のスウォルウェル下院情報委員は、「われわれの調査で、共謀を強く示す証拠が見つかった」と述べ、トランプ氏は「ロシア人のために働く工作員だ」とまで言った。下院司法委員会のナドラー委員長(民主)は、「共謀があったことは明らかだ。その証拠はたくさんある」と述べた。上院司法委員会のブルメンソール委員(民主)は昨年、「トランプ陣営とロシアとの間に共謀があったことを示す明確な証拠がある」と言った。上院情報委員会のワイデン委員(民主)は「この陣営が、敵対する国外の勢力と共謀し、米国の民主主義を転覆させようとしていたことはもはや疑いの余地がない」と主張した。最近では、上院情報委員会のワーナー副委員長(民主)が、トランプ陣営とロシアの間の共謀を示す「膨大な量の証拠」が存在し、トランプ・オーガナイゼーションとロシア人の間で協力と情報交換の証拠がないとは誰も言えない」と指摘した。

 情報を入手できる人物の発言であり、恥ずべきものだ。しかし、最も悪質なのは、ジョン・ブレナン氏だ。元中央情報局(CIA)長官の地位を利用して、トランプ氏が反逆者であり、ロシアのスパイだと示唆した。ヘルシンキでの首脳会談の後、ブレナン氏は、「完全にプーチン氏の言いなりだ」と断言した。「ミート・ザ・プレス」のチャック・トッド氏に反論されてもブレナン氏は譲らず、「(トランプ氏の)裏切り行為だと言ったのであり、信頼と支持を裏切り、敵に手を貸した。この考えに変わりはない」と訴えた。

◇後悔しているふり

 MSNBCのローレンス・オドネル氏は今月に入ってブレナン氏に、この捜査は「(ブレナン氏が)現職の時にすでに行われていた」と指摘した上で、「その段階で、…いずれ起訴されるとは考えなかったか」と質問した。ブレナン氏は「あの時、司法省が問題視する人物が出てくるだろうと思っていた」と答えた。ブレナン氏はニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で、「共謀はないというトランプ氏の主張は言ってしまえば、ごみのようなものだ」と指摘した。だが今になって、後悔しているふりをしている。「情報が間違っていたのかどうかは分からないが、もっといろいろあるのではないかと疑念を持っていたのだと思う」と当時を振り返るとともに、「米国の選挙でロシア政府との犯罪的な共謀がなかったと判断されたことに安堵している」と述べた。

 ブレナン氏はごみと言った。それが事実であってほしいと思い、CIAの職権を使って、国民にそう思わせようとした。これは国民の信頼への裏切りだ。トランプ氏がブレナン氏の機密情報取扱許可を取り消したのは正しかった。最悪というべきであり、トランプ・ロシア共謀不名誉殿堂入りだ。選挙で選出され、任命され、重要な国家安全保障問題を扱う高官ら公職者の水準をいっそう高める必要がある。

(3月29日)