ブッシュ父元米大統領死去


東西冷戦の終結を宣言

 第41代米大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ氏が30日、死去した。94歳だった。共和党レーガン政権を継承し、ソ連との東西冷戦に終止符を打ったほか、核軍縮を進めるなど冷戦後の新たな国際秩序構築に努めた。

ブッシュ元大統領

ブッシュ元大統領(AFP時事)

 1924年6月12日、東部マサチューセッツ州生まれ。第2次世界大戦ではパイロットとして太平洋戦線に従軍。小笠原諸島の父島付近で旧日本軍に撃墜され、救助された。終戦後に名門エール大学を卒業。66年下院議員に当選。71年から国連大使、米中連絡事務所長、米中央情報局(CIA)高官などを歴任し、81年にレーガン政権の副大統領に就任した。

 88年の大統領選で、民主党のデュカキス氏を破り当選。就任した89年には、ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長(当時)と地中海のマルタ島で会談し、東西冷戦の終結を宣言した。ソ連と継承国ロシアとの間で二つの戦略核兵器削減条約(START1、2)を締結した。

 その後、91年の湾岸戦争では、米国主導の多国籍軍を組織。空爆を開始した後に地上戦を展開し、イラク軍に占領されたクウェートを解放した。

 支持率は一時9割を超えたが、再選を目指した92年の大統領選では、国内景気の悪化などが響きクリントン元大統領に敗北した。

 死因は明らかにされていないが、パーキンソン病を患っていることを公表していた。今年4月には、73年間連れ添った妻バーバラさんが亡くなっていた。

 トランプ米大統領は12月1日の声明で、「正しい判断力や良識、何事にも動じない指導力で平和的に冷戦終結を導いた」と指摘。「大統領として、何十年も続く繁栄の基礎を築いた。その生涯と功績に敬意を表したい」と称(たた)えた。

 オバマ前大統領も「米国は、愛国者であり謙虚な奉仕者を失った」と死を悼んだ。43代大統領を務めた長男のジョージ・W・ブッシュ氏は「高潔な人物で、望み得る中で最高の父親だった」と声明を発表した。

(ワシントン山崎洋介)