冬季五輪北京開催の変更を
米議会報告書、中国のウイグル弾圧を非難
中国の人権問題などを調査している米連邦議会議員らの超党派委員会は10日、年次報告を公表し、2013年に習近平国家主席が就任して以来、中国の人権状況があらゆる側面で悪化を続け、「切迫した状況にある」と警鐘を鳴らした。
委員会の共同委員長のルビオ上院議員(共和)は、記者会見で、中国政府が新疆自治区でイスラム教少数民族のウイグル人への「前例のない」弾圧を行っていると非難。2022年に北京で予定されている冬季五輪について、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長に開催地の変更を求める考えを示した。
中国と貿易問題で対立するトランプ政権が、外交・軍事分野でも対中強硬姿勢を強める中、議会もこれに同調した形だ。
報告書では、中国共産党の中央統一戦線工作部の活動に触れ、ウイグル族などイスラム系少数民族の100万人以上を中国西部にある「再教育施設」に強制収容していると指摘。中国政府は「第2次大戦以来の少数民族への大量監禁で、人道に対する罪に当たる可能性がある」と非難した。
報告書はまた、中国政府が、市民の活動を監視する技術を開発するため、多額の資金を費やしていると指摘。生体認証システムや監視カメラなどによる統制を強化していると批判した。
ルビオ氏は、報告書公表に合わせ、米国在住のウイグル人やチベット人に対し、中国政府が「脅迫や嫌がらせ、恫喝(どうかつ)」を行っている実態について、連邦捜査局(FBI)に捜査を求めたことも明らかにした。
ルビオ氏はまた、中国で「国家分裂罪」で無期懲役判決を受け服役中のウイグル人学者、イリハム・トフティ氏を19年のノーベル平和賞候補に推薦することも発表した。