米、エルサレム首都認定へ
大使館移転も、歴代政権の方針転換
トランプ米大統領は6日午後(日本時間7日未明)に行う演説で、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、米国大使館を現在の商都テルアビブからエルサレムに移転する方針を表明する。米政府高官が5日明らかにした。パレスチナ自治政府やアラブ諸国の反発は必至で、中東和平が遠のく可能性もある。
エルサレムを首都に認定すれば「エルサレムの帰属はイスラエルとパレスチナの和平交渉で決定する」とした米歴代政権の方針が転換されることになる。
トランプ氏は5日、イスラエルのネタニヤフ首相やパレスチナ自治政府のアッバス議長のほか、アラブ諸国の首脳と電話会談を行い、大使館移転の意向を伝達。米メディアによると、アッバス氏は「和平プロセスや地域の治安と安定に重大な結果を招く」として強く反対した。
イスラエルはエルサレムを「永遠の首都」と位置付けているが、アラブ諸国はイスラエルの主張を認めておらず、各国もエルサレムを首都と認定せずテルアビブに大使館を置いている。
米政府高官は5日に行った説明で「長年、米国は和平プロセスを進展させるために、(イスラエルの首都について)あいまいなままにしてきた」と指摘。また大使館の移転には数年かかるとの見通しを示した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は新たな大使館を建設するのに少なくとも3、4年かかると伝えた。
トランプ氏は昨年行われた大統領選で大使館のエルサレム移転を公約に掲げたが、就任後は「米国の安全保障上の利益を守る」として、発表を見送っていた。
一方、国務省はアラブ諸国を中心に暴力的な抗議が発生する可能性があるとし、世界各国の米国大使館にデモへの準備をするよう指示。政府職員にはエルサレム旧市街やヨルダン川西岸への渡航を控えるよう通達した。
(ワシントン岩城喜之)