米民主党大会 、クリントン氏が指名受諾演説
2016米大統領選
「団結すれば強くなれる」
ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われている民主党の全国大会で大統領候補に指名されたヒラリー・クリントン前国務長官は28日夜、指名受諾演説を行った。クリントン氏は「団結すればより強くなれる」と支持を訴えると同時に、「(自身の指名は)米国を前進させる一里塚になった」と述べ、米主要政党で初の女性大統領候補となった意義を強調した。
民主党大会はクリントン氏の演説で閉幕。共和党はドナルド・トランプ氏を大統領候補に指名しており、11月8日の投票日に向け、いよいよ本格的な選挙戦に突入する。
クリントン氏は、大統領に就任した際に優先的に取り組む課題として、「より良い機会と雇用を創出し、賃金上昇をさせることだ」と強調した。
また、共和党候補のトランプ氏について「(米国を)分断させたがっている」と批判。トランプ氏が米メキシコ国境への壁建設を訴えていることに「私たちは壁を築かない」と述べ、違いを鮮明にした。
クリントン氏は演説で、これまでに国務長官や上院議員を務めた経験と実績を強調。「人々は安定したリーダーシップを求めている」と述べた上で、トランプ氏は「核兵器を任せられる人物ではない」と主張した。
一方、クリントン氏が本選を戦う上でネックとなるのは、好感度の低さだ。過去の高圧的な態度などでもともとのイメージが悪いことに加え、私用メールアドレスを国務長官在任時に公務で使っていた問題で事実と違う発言があり、「信用できない」と考える有権者は多い。
今回の大会は、そうしたイメージの改善を狙う演出が随所にみられた。26日に演説した夫のビル・クリントン氏は人間味あふれる妻をアピールし、28日には娘のチェルシー・クリントン氏が母親としての一面を紹介した。ただ、こうした演出でイメージが大幅に改善する可能性は低く、今後はトランプ氏とクリントン氏という好感度が低い候補同士の異例の争いが展開される。
(フィラデルフィア岩城喜之)