バイデン米政権 孔子学院への規制撤回
共和党議員ら非難
バイデン米政権が先月下旬、中国政府系教育機関「孔子学院」との合意内容を開示するよう米大学などに求める連邦規則の計画を取り下げていたことが分かった。この決定に共和党議員らは、大学への中国共産党の浸透を容認することになるとして強く反発している。(ワシントン・山崎洋介)
トランプ前政権は昨年12月31日、米国の小中学校と高等教育機関に孔子学院と提携した場合、その合意内容を開示するよう義務付ける連邦規則を提案した。だが、行政管理予算局情報規制室(OIRA)によると、バイデン政権は1月26日、この連邦規則を撤回した。
2019年2月に公表された米上院国土安全保障・政府問題委員会常設調査小委員会の報告によると、過去10年間で1億5000万㌦(約160億円)以上の資金が中国から孔子学院を設置する大学に提供されたが、約70%の大学が国への報告義務を怠っていた。同学院をめぐっては、米連邦捜査局(FBI)のレイ長官が18年、孔子学院がスパイ活動に関わっている疑いで調査対象となっていると議会で証言している。
ホワイトハウスが米メディアに説明したところによると、バイデン大統領が就任した時点で、この連邦規則についてOIRAによる審査は完了していなかった。クレイン大統領首席補佐官は先月20日、審査を完了していない連邦規則についてすべて撤回するよう命じたため、孔子学院に対する規制も自動的に取り下げられることになったという。
しかし、この決定に共和党議員から懸念の声が相次いだ。上院情報特別委員会のルビオ副委員長(共和)はツイッターで「連邦捜査局(FBI)は、中国共産党が孔子学院を利用して米国の学校に浸透していると警告していた。にもかかわらず、バイデン氏は密(ひそ)かにトランプ政権が提示した規則を撤回した」と非難。コットン上院議員(共和)もツイッターで「孔子学院は、米国のキャンパスにおける中国共産党の偽装団体だ。バイデン政権は、外国による影響工作を密かに容認している」と批判した。
下院外交委員会のマコール筆頭委員(同)は声明で「議会に諮ることなく提案された規則を密かに撤回したことで、バイデン政権は、学界への中国共産党の影響に対する監視について懸念すべきシグナルを送った」と表明。その上で「中国共産党を米国にとって主要な国家安全保障の脅威として最優先する」という約束を果たすようバイデン政権に求めた。