「世界一貧しい」元大統領引退
ウルグアイ ムヒカ氏
南米ウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカ上院議員(85)が20日、政界からの引退を表明した。地元メディアによると、同氏は免疫系の持病を抱えており、「政治家の仕事は、足を運んで人と話すことだが、新型コロナウイルスの流行によりそれができなくなった」と辞職理由を説明した。
2010年から15年までウルグアイの大統領を務めたムヒカ氏は、「世界で最も貧しい大統領」として知られる。自身の農場で自給自足の生活をしながら、外遊時にはエコノミークラスを利用することも有名で、国民からは「ぺぺ」の愛称で親しまれた。
12年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連会議で「本当に貧しい人は少ししか物を持っていない人ではなく、限りない欲を持ち、いくらあっても満足しない人だ」と述べ、現代文明と消費社会に警鐘を鳴らした。
1960年代から70年代にかけて極左武装ゲリラ「トゥパマロス」のメンバーで、誘拐などに関与した罪で投獄された経験を持つ。
(サンパウロ 綾村悟)