最高裁人事が主要争点に、ギンズバーグ判事死去
米連邦最高裁判事で最高齢のルース・ギンズバーグ氏が18日、膵臓(すいぞう)がんのため87歳で死去した。トランプ大統領はリベラル派の代表格だったギンズバーグ氏の後任として近く保守系判事を指名する見通しで、今後、激しい与野党の攻防が予想される。11月の大統領選が迫る中、後任判事の指名が大きな争点に急浮上することになった。
米最高裁判事は終身制で、妊娠中絶や同性婚、銃規制など社会を二分する問題に大きな影響を及ぼすことから、その人事は大きな注目を集める。現在の最高裁は計9人の判事が5対4で保守多数となっていたが、長官であるロバーツ判事がリベラル寄りの判決をすることも多く、事実上勢力は伯仲していた。
与党共和党のマコネル上院院内総務は声明で、ギンズバーグ判事の訃報に哀悼の意を示した上で、「トランプ大統領が指名した候補が、上院で承認採決に臨むことになる」とし、トランプ氏の指名後に承認手続きを速やかに進める考えを表明した。
米メディアによるとトランプ氏は、後任を近く指名する意向。トランプ氏は今月9日、最高裁判事に欠員が生じた場合に後任として指名する保守系の候補20人をすでに公表しており、その中から選ばれることになる。
これに対し、民主党大統領候補のバイデン前副大統領は、「有権者が大統領を選び、その大統領が上院が検討する判事候補を選ぶべきだ」と述べ、次期大統領の就任後に指名が行われるべきだと主張した。
ギンズバーグ氏は、クリントン元大統領により1993年に指名され、連邦最高裁で史上2人目の女性判事に就任。女性の権利向上と性差別の解消を求めてきたリベラル派判事の代表的存在として知られる。2018年に伝記映画が公開され、若い世代を中心に尊敬を集めてきた。
トランプ政権下では、いずれも保守派の最高裁判事2人が就任した。トランプ氏は、後任判事の指名によって、最高裁判事の保守派優位を明確にし、保守的な有権者にアピールしたい考えだ。
ただ、オバマ政権末期の16年、同氏が中間派判事を後任に指名したが、マコネル氏ら共和党側が大統領選後に指名するべきだとして審議拒否し、断念を余儀なくされた。こうした経緯もあり、大統領選を控える中、後任判事の指名手続きを進めることには民主党からの強い反発も予想される。
(ワシントン 山崎洋介)