トランプ氏 左翼から国を守ると宣言
「愛国」姿勢を前面に
トランプ大統領は27日の指名受諾演説で、民主党が急速に左傾化していることを踏まえ、11月の大統領選を「米史上最も重要な選挙だ」と2度も強調した。大統領選のたびに耳にするフレーズだが、今回ほどこの言葉が当てはまる選挙はないだろう。共和党と民主党の間で目指す国家観の断絶が鮮明になっており、どちらが政権を担うかによって米国の針路がまったく異なってくるからだ。(編集委員・早川俊行)
「社会主義のトロイの木馬だ」。トランプ氏は、民主党候補のバイデン前副大統領をこのような強い表現で非難した。サンダース上院議員ら極左勢力に擦り寄るバイデン氏が大統領になれば、米国で社会主義革命が起きかねないと警告したものだ。人種差別に反対する抗議デモが極左勢力にハイジャックされ、各地で暴動や略奪が起きている光景は、「暴力革命」を想起させ、トランプ氏の指摘を差し迫った脅威と受け止めた有権者は多いに違いない。
米国を救いようのない人種差別国家と断罪する国家観が急速に浸透する民主党とは対照的に、トランプ氏は米国を「世界の歴史の中で最も偉大で例外的な国」と位置付け、「これまで以上に偉大にする」と訴えた。各地で続く抗議デモについても、「暴徒による支配は許さない」と、破壊行為に沈黙するバイデン氏との違いを明確にした。
トランプ氏が大手メディアから激しいバッシングを浴びながらも、常に4割程度の支持率を維持しているのは、トランプ氏の揺るぎない「愛国」の姿勢が保守的な草の根有権者に響いているからだ。左翼勢力の攻撃から米国を守ると改めて宣言した指名受諾演説は、支持基盤を一段と強固にしたことは間違いない。
バイデン氏が聴衆を入れずに演説したのに対し、トランプ氏は約1500人の支持者を招き、盛り上がりを演出した。共和党に勢いがあるとの印象を与えたことで、トランプ氏がバイデン氏との支持率の差を縮める可能性がある。