香港国家安全法 米下院、制裁法案を可決

ポンぺオ国務長官「国家への侮辱」中国非難

 米下院は1日、香港の自治侵害に関与した中国当局者に制裁を科す法案を全会一致で可決した。中国が香港で反政府的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法」を施行したことに対する対抗措置となる。
(ワシントン・山崎洋介)

ポンペオ米国務長官=6月24日、ワシントン(AFP時事)

ポンペオ米国務長官=6月24日、ワシントン(AFP時事)

 法案は、香港の民主派デモへの弾圧に関与した中国当局者と取り引きした金融機関に制裁を科すもの。類似する法案は上院で先週に可決しているが、若干の違いがあるため上院で再び可決する必要がある。その後、トランプ大統領の署名を経て成立する。

 ペロシ下院議長は1日、下院外交委員会で異例の演説を行い、国家安全維持法について「一国二制度の原則は死んだことを示している。自由を破壊することを意図した、香港の人々に対する残忍で徹底的な弾圧だ」と非難した。

 6月30日には、超党派の上下院議員が香港で迫害を受ける恐れのある香港市民を難民として認定する法案も提出している。

ペロシ米下院議長=6月26日、ワシントン(AFP時事)

ペロシ米下院議長=6月26日、ワシントン(AFP時事)

 一方、ポンぺオ国務長官は1日の記者会見で、国家安全維持法の中に米国人など香港の非居住者が取り締まり対象となり得る条項があるとし、「常軌を逸したものであり、すべての国に対する侮辱だ」と厳しく批判。引き続きトランプ氏が指示した香港への優遇措置の見直しを進めると強調した。

 ポンぺオ氏はまた「重要なことは、中国共産党の脅威が世界中の自由を愛する人々への挑戦だと理解する国際的な連合を構築し続けることだ」と述べ、価値観を共有する他国と連携して中国に対抗する考えを表明。その上で「これは米国と中国の問題ではなく、自由主義と権威主義の間の問題だ。そのことを心に留めておけば、自由を愛する世界中の人々が勝利すると確信している」と訴えた。