「入植地はイスラエル領」 米大統領が中東和平案を公表


 トランプ米大統領は28日、ホワイトハウスでイスラエルとパレスチナの中東和平案を発表した。条件付きでパレスチナ国家の樹立を認める一方、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地についてイスラエルの主権を容認する内容。エルサレムをイスラエルの首都と位置付けるなど、イスラエル寄りの姿勢が鮮明で、パレスチナ側は反発している。

ネタニヤフ首相(右)とトランプ米大統領

28日、ホワイトハウスで中東和平案を発表し、イスラエルのネタニヤフ首相(右)と握手するトランプ米大統領(AFP時事)

 和平案は、帰属を争う聖地エルサレムについて、「イスラエルの主権下にある不可分の首都であり続ける」と認定。これに対し、パレスチナ側には、テロの放棄やイスラエルの首都としてのエルサレム認定することなどを条件に国家の樹立を容認したが、首都はパレスチナ側が求めてきた東エルサレム全体ではなくその周辺部とした。

 和平案で示されたイスラエルと将来のパレスチナ国家の国境線は、イスラエルがパレスチナを占領した1967年の第3次中東戦争前の境界線ではなく、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地についてイスラエルの主権を容認した。一方、イスラエルに新たな入植活動を今後4年間凍結するよう求めた。

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 トランプ氏は同日ホワイトハウスで記者会見し、和平案について「両者にとってウイン・ウインの内容だ」と強調。「パレスチナ人が最終的に独立を達成するための歴史的な機会だ」と訴え、パレスチナ側に今後の交渉への参加を呼び掛けた。

 トランプ政権はこのほか、中東和平構想の一環として、500億㌦以上をパレスチナに投資する支援計画を示している。会見に同席したイスラエルのネタニヤフ首相は、「バランスのとれた和平案だ」と評価した。

 一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長は中東和平案の公表直後、これを拒否するとの声明を発表。エルサレムを含まないパレスチナ国家は受け入れられないと反発した。

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 トランプ氏と共に声明を発表したイスラエルのネタニヤフ首相は「この機会を逃さない」と述べ、和平案に基づく交渉に応じる姿勢を示した。パレスチナ側はトランプ氏が2017年12月にエルサレムをイスラエルの首都と認定して以降、米政権による仲介を拒否しており、発表にも立ち会わなかった。

 歴代の米政権は、パレスチナ国家樹立を認める「2国家共存」に基づく和平プロセスを推進してきた。だがオバマ前政権が仲介した交渉は、イスラエルの入植活動継続にパレスチナが反発を強めたことで14年4月に決裂した。