ガザ地区からロケット弾、31人負傷
イスラエル軍 130カ所報復空爆
イスラエルのメディアによると、パレスチナ自治区ガザ地区から11日朝、イスラエル南部に向けてロケット弾数十発が発射され、アシュケロンの住宅やアパートを直撃し、子供5人を含む31人が負傷した。
イスラエル軍は11日朝、ガザ地区にある武装組織の軍事拠点など130カ所を標的に空爆を実施したと明らかにした。
イスラエル軍によると、10日夜から翌朝にかけ、ガザ地区からイスラエルに向けて約200発のロケット弾が発射された。イスラエル軍は報復として、ガザ地区を実効支配するイスラム根本主義組織ハマスのロケット生産工場や地下トンネル、イスラム聖戦の軍事施設などを空爆。ロケット弾を発射していたハマス戦闘員少なくとも15人が死亡したという。ハマスの軍事インフラに大きな打撃を与えるまで作戦を数日続けるとしている。
パレスチナ解放機構(PLO)の公式通信社、パレスチナ通信(WAFA)は11日、イスラエル軍による空爆で、子供9人を含む24人が死亡、103人が負傷したと報じた。
エルサレム旧市街などでは7日から10日にかけて、イスラム教徒らパレスチナ人デモ隊とイスラエル治安部隊との衝突が続き、パレスチナ人600人以上が負傷した。また、北部の都市ハイファやナザレでもデモ隊と警察の衝突があった。
ハマスは10日、衝突で多くのパレスチナ人が負傷したことを受け、報復すると警告していた。
10日は、イスラエルが1967年の第3次中東戦争(6日戦争)で、ヨルダンから東エルサレムを奪還したことを記念する「エルサレムの日」。旧市街にあるユダヤ人の聖地である西壁へ向かうパレードは、治安上の理由からイスラム教徒地区を避けて行われた。
対立が激化した背景には、東エルサレムのシェイク・ジャラ地区でユダヤ人入植者らがパレスチナ人家族に立ち退きを要求していることなどがある。エルサレム地方裁判所は今年初め、数十年前の購入を理由に、不動産はユダヤ人に属するとの裁定を下した。
連日の衝突を受け、イスラエル司法省は9日、最高裁で10日に行われる予定だった審理の延期を発表している。
イスラエルは、エルサレム全域を首都としているが、国連など国際社会はこれを認めていない。一方のパレスチナ側は、東エルサレムが将来の独立国家の首都になると主張している。立ち退きをめぐり、双方の緊張が高まっている。