韓国の歪んだ皇室観報ずる新潮、GHQ儀仗兵の天皇への思い伝える朝日
◆反日カード切る韓国
韓国は今、日本に勝ってお祭り騒ぎだ。世界貿易機関(WTO)が日本の水産物輸入禁止を続けている韓国に軍配を上げたからだ。景気は悪く、経済指数は悪化し、頼みの南北関係も進展せず、外交失策ばかりが続き、大統領の支持率は右肩下がり…、いいところなしの韓国で久々の“朗報”なのだ。
週刊新潮(4月25日号)が「韓国の断末魔」の記事を載せた。WTOで勝っても韓国の陥っている政治的経済的な困難が解消されるわけではない。しかし国内に充満している負のエネルギーの捌(は)け口をどこかに求めなければ、政権の存続が危うい。そんな時、韓国は常に「反日カード」を切ってきた。しかも、今回はついに「天皇」を持ち出した。断末魔である、という記事だ。
韓国は複雑な天皇観を持っている。慰霊と平和を祈念してきた今上天皇は、憲法改正を進め「強い日本」を目指す安倍首相に「対峙(たいじ)している」とみて、何かと安倍批判で天皇を引き合いに出す。
そうしながら、一方で、天皇は「国のトップ」だから、「国を代表して韓国に謝れ」と要求する。かつて王室を持っていたとはいえ、既にその時代を知る世代はなく、共和制の韓国では天皇制はなかなか理解されない。だから天皇は政治家ではないのに、大統領と同列に考えて、さまざまな要求を振ってくるのだ。
同誌は、「何はともあれ天皇陛下に謝れと要求しておきながら、対安倍総理に関しては『味方』として振る舞ってほしいとは何たるご都合主義か」と呆(あき)れているが同感だ。
◆天皇政治利用に警鐘
こうした韓国の天皇観が日本に伝えられるようになったのは最近のことで、本来はもっと早く相手の心理分析をしておくべきだった。韓国人が抱く複雑な皇室観を知ってこそ、大統領や国会議長が謝罪要求をしてくるその心理も分かろうというもの。誤解や歪んだ認識の上で相対したところで、正しい答えが出てくるはずがない。
「元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠二氏」は同誌に、「天皇は政治と関係ないから訪韓してくれ」と要求してくることを予想し、「それこそ政治利用」と警鐘を鳴らす。「上皇になられれば訪韓しやすいのではないかと考えているかもしれませんが、それが実現してしまったら韓国の思う壺」だからだ。
元連合国軍総司令部(GHQ)儀仗兵として、占領期と戦後の日本に住んだ兵士の話を週刊朝日(4月26日号)が伝えた。「マッカーサー儀仗兵連盟」の「デイビッド・バレー、87歳」で彼は天皇陛下の退位に際して声明を出し、「若い皇太子明仁を覚えている。(略)かつての日本の敵国との和解のため、天皇が払ってきた努力は称賛されるべきである」として、「多くの日本人に伝えてもらいたい」と送ってきた。これを受けたのが「ジャーナリストの徳本栄一郎」氏。
マッカーサー近くで務めたバレー氏は、まだ十代だった皇太子がGHQを訪れマッカーサーと対面したという歴史の場面を記憶していた。皇太子の家庭教師だったバイニングはこの時の対面で皇太子が「昨日までの敵の頭目に面と向いあって、おめも臆しもせず、少年らしい威厳を保って、率直に受け答えしている姿を見た」と書き残している。
◆元敵兵士が知る価値
戦後日系企業との合弁会社幹部として東京に住んだバレー氏は昭和天皇の崩御に出合う。皇居に赴き記帳し「深く頭を垂れた」という。靖国神社では、本来傷を負った兵士が仲間と体験や思いを共有する場であるべきなのに「政治論争に巻き込まれ」たことを「不幸だった」と感じたとメッセージで伝えている。
中国や韓国などの旅行者で賑(にぎ)わう皇居前広場にかつての儀仗兵たちがいたなら、この退位という厳粛な時に「皇居に向かって整列し、直立不動で敬礼するはずだ」と徳本氏は書く。かつて敵だった兵士こそ、天皇陛下の価値と歴史を知る。良い記事を読ませてもらった。
(岩崎 哲)