憲法9条改正を支持、総力挙げて国の存立守れ マット・サーモン氏
前米下院外交委員会アジア太平洋小委員長 マット・サーモン氏
トランプ米政権の北朝鮮政策をどう見る。

マット・サーモン氏 米ユタ州出身。ブリガムヤング大で修士号取得。アリゾナ州上院議員を経て、同州選出の連邦下院議員を計5期10年務めた。中国語が堪能なアジア通で、2015年から2年間、下院外交委員会アジア太平洋小委員長。
オバマ前政権の「戦略的忍耐」は失敗であり、軍事行動から対話まであらゆる選択肢をテーブルに置くトランプ氏のアプローチを私は強く支持する。
中国は北朝鮮の核開発を抑えるために必要な措置を講じ始めており、トランプ氏のメッセージは中国の習近平国家主席に響いているようだ。これまで最小限の行動しか取ってこなかった中国だが、今は北朝鮮に経済圧力をかけるリスクよりも、この地域で核軍拡競争が起きるリスクの方がはるかに深刻であることを理解し始めている。
軍事行動は現実的な選択肢か。
核兵器を搭載できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を許してはならないことははっきりしている。それだけは何があっても許すわけにはいかない。
軍事攻撃を受けた北朝鮮は、韓国や日本に対し報復に出る可能性がある。
簡単な回答は存在しない。だが、われわれは北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を常に正しい判断を下す人物とは見ていない。彼の不安定性は恐ろしい。韓国や日本への影響を考えると、軍事行動は避けたい。しかし、他に打つ手がなければ、米国は必要な行動を取る。
トランプ氏は対話に応じる姿勢も示している。
金正恩氏が核開発を中断し、米政府と真剣に協力する姿勢を示すなら、トランプ氏は喜んで会うだろう。だが、正恩氏は言葉だけでなく行動でそれを示さなければならない。米国はこれまで騙(だま)され続けてきたからだ。ボールは今、北朝鮮側にある。
韓国新大統領に左派の文在寅氏が就任した。日韓米の足並みに乱れが生じる恐れは。
文氏は北朝鮮との対決を避け、対話を志向している。だが、われわれは国家存立の脅威に直面しており、日韓米が関係を強化し、防衛力を強化する以外に道はないことは、皆、理解している。日韓米が構築してきた協力体制を、韓国新大統領が前進させないと予想する理由はない。
地域の平和と安定を維持する上で、日本の役割をどう見る。
防衛費の増額など安倍晋三首相の取り組みには勇気づけられている。ただ、さらなる貢献を期待したい。
日本には憲法上の制約がある。憲法9条改正を支持するか。
支持する。繰り返すが、われわれは国家存立の脅威に直面しているのだ。北朝鮮が核を搭載できる弾道ミサイルを開発しているなら、われわれはそれに備えなければならない。
今、求められているのは、レーガン元米大統領が主張した「力による平和」だ。軍事力は行使したくないが、家族、生活、国土を守るために、必要なことはいかなることもしなければならない。
9条改正には中韓の反対が予想される。米国は日本の立場を支持するか。
日本国民が決める問題であり、米国が日本に何をすべきか言うべきではない。だが、最終的に日本国民が正しい結論を下すことを希望する。
米国民は戦争に疲れている。それでも、最近の世論調査では、米国民の多くが北朝鮮への軍事行動を支持した。米国は戦争を望まないが、ならず者が米国に国家存立の脅威をもたらすのを許すわけにはいかない。
生存の権利はすべてに優先される。日本も総力を挙げるべき時だ。
(聞き手=編集委員・早川俊行)










