身勝手極まる金第1書記の核実験継続方針
北朝鮮の金正恩第1書記は、核実験を今後も行う意思を明確にし、核攻撃の能力を常に発展させなければならないと強調した。米韓合同軍事演習に対抗したものとみられるが、こうした姿勢は極めて身勝手だ。
国際社会による国連安保理対北制裁決議の厳格な履行とともに、北朝鮮の挑発への備えが求められる。
小型化に成功との発言も
最高指導者になって以後、金第1書記は核実験と長距離弾道ミサイルの発射を2回ずつ行ったが、引き続き強行する構えである。両方とも安保理決議に違反し、地域の平和と安定を脅かすものだ。
金第1書記は「新たに研究・製造された核弾頭の威力を評価するための核実験と、核攻撃の能力を高めるために必要な実験」を続けるよう指示。また「核弾頭を使う手段を多様化し、地上や空中、海上、水中で敵に核攻撃を加えられるように準備しなければならない」と述べた。
さらに、核爆弾の小型化に成功したとの発言も報じられている。事実であれば、周辺国への脅威は格段に増す。
米本土防衛を担当する北方軍のウィリアム・ゴートニー司令官は上院軍事委員会の公聴会で、北朝鮮のミサイルについて「米本土とカナダを射程に収めた大陸間弾道ミサイル(ICBM)を宇宙空間に打ち上げる能力を持っていると評価している」と証言した。北朝鮮がICBMの核心技術の一つである大気圏再進入技術を確保した可能性を示唆する発言である。
核弾頭開発に関しても「今の時点で核兵器を小型化し、ICBMに搭載する能力を保持していると仮定するのが、現場の指揮官としては賢明な判断だ」との見方も示した。米情報当局はICBMによる北朝鮮の核攻撃が成功する可能性は極めて低いと分析しているが、起こりうる事態を想定し、脅威に備える体制を整えなければならない。
一方、米特殊作戦軍(SOCOM)のジョセフ・ボーテル司令官は、北朝鮮の金正恩政権が崩壊した場合、米軍は北朝鮮の核兵器を確保するための作戦を実施する構えであることを明らかにした。SOCOMは米国の統合軍の一つであり、陸軍、海軍、空軍、海兵隊の特殊作戦部隊を統合指揮している。
現在、北朝鮮情勢の不安定化を受けて「かつてない規模の」特殊作戦部隊(SOF)が韓国に追加派遣されているという。SOCOMは、政権の崩壊などで核兵器が望ましくない勢力の手に渡った場合に、追跡、確保する高度な訓練を受けた部隊を保有している。
米韓演習では金第1書記をはじめ要人を暗殺するための訓練も行われる。周辺国の間では北朝鮮の政権崩壊で難民が押し寄せることが懸念されているが、残された核兵器の管理も大きな課題だと言えよう。
挑発に対応できる態勢を
北朝鮮は今月に入って、新型の多連装ロケット砲や短距離弾道ミサイルを日本海上に向けて発射した。
日本は米韓両国と緊密に連携し、北朝鮮のいかなる挑発にも対応できる態勢を整えなければならない。