北の「10月サプライズ」 専門家ら懸念
核実験の可能性も
北朝鮮は昨年、米国への「クリスマスプレゼント」を示唆、長距離ミサイルの試射や核実験を実施するのではないかとの臆測が流れたが、米安全保障専門家の間で今、プレゼントは11月の大統領選に影響を及ぼすことを狙った「オクトーバーサプライズ(10月の不意打ち)」になるのではないかとの見方が出ている。
力の誇示か外交交渉の再開かで割れてはいるものの、いずれも第3回首脳会談を目指すものになるとの見方で一致している。
ヘリテージ財団のクリングナー上級研究員はワシントン・タイムズに、トランプ氏が2年前に設定した「レッドライン(越えてはならない一線)」である大陸間弾道弾(ICBM)の試射や核実験で「緊張を高める」可能性があると指摘した。
トランプ大統領は、北朝鮮が1年半にわたって実施してきた短距離ミサイルの試射に反応しておらず、「事態を動かすために北朝鮮は、レッドラインを越える必要がある」と述べた。
米シンクタンク外交評議会の米韓政策研究部長スコット・スナイダー氏は、問題は、首脳会談と引き換えにトランプ氏と北朝鮮がどこまで譲歩を引き出せるかに懸かっているが、これは双方にとってリスクをはらんでいると交渉の難しさを指摘した。
金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正朝鮮労働党第1副部長らは、首脳会談の再開を否定しているが、スナイダー氏は、「(北朝鮮は)トランプ氏がプレゼントを玄関に置いて行った場合に備えて扉を少し開けている」と第3回会談の可能性は残っているとの見方を示した。
専門家らは、北朝鮮が核兵器の一部を保有したまま経済制裁を解除させることを望んでいるとの見方で一致している。スナイダー氏は、「個人的には、北朝鮮は2021年春に両国関係を仕切り直す準備をしていると思っている」とオクトーバーサプライズには否定的。
「その時までに核保有国としての基盤を固め、米新政権に核保有国としての地位を認めさせることを目指すのではないか」との見方を示した。
(ワシントン・タイムズ特約)