韓国の好感度「最低」の年末に「日米韓」の重要性指摘した「報道1930」

◆調査を開始以降最低

 内閣府が20日、「外交に関する世論調査」を発表した。それによると、韓国に「親しみを感じる」と答えたのはわずか6・3%。「どちらかというと感じる」も20・4%だけで、合わせると、26・7%。これは前年より12・7%下がって、調査を始めた1978年以降、最低だった。

 12月20日といえば、1年前に海上自衛隊P1哨戒機が韓国海軍駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けた日だ。このレーダー照射問題や軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄問題、またそれ以前から続く「元慰安婦」「徴用工判決」を含め、この1年間、日韓関係は「戦後最悪」と評されるような状況に陥ったのだから、冒頭の数字を見ても驚く人は少ないだろう。

 この世論に影響を与えた一つはテレビだ。視聴者の関心が高いこともあって、日韓問題をテーマにした時事情報番組がこれほど多かった年は過去になかったのではないか。

 1年間の日韓問題に関する番組を振り返ると、前半は韓国への不信や反発を軸に展開する内容が多かった。しかし、後半になると、日米韓の連携に対する文在寅政権の立ち位置の違いを前提に、感情的でなく戦略的な対応を取るべきだとする内容が多くなったのが目立った。

 潮目が変わったのは、日本政府が8月、輸出優遇措置を適用する「ホワイト国」(グループA)から韓国を除外したことに対する報復として、文政権がGSOMIA破棄を決定してからだ。実際に失効する直前(11月22日)、同政権が失効の「一時停止」を発表し、日米韓の安全保障が深刻な事態に突入することは回避されたが、自国の安全保障に関する協定まで利用して、日本に譲歩を迫ろうとする手法を見て、多くの日本人が同政権への不信を強めたのだ。

◆財団設立案には反対

 それでも、不安定化を増す東アジア情勢からすれば、日米韓の連携を原則とすべきだとする識者の認識は変わらなかった。20日放送のBS―TBSの時事番組「報道1930」で、元防衛大臣で拓殖大学総長の森本敏、自民党参議院議員の松川るい、それにレギュラーの「パックン」ことパトリック・ハーランが加わり3カ国連携の重要性を論じた。松川は外交官時代、日中韓がソウルに設立した協力事務局で次長を務めるなど、東アジア情勢に詳しい。パックンは米ハーバード大卒のインテリ・タレントだ。

 この日は「日韓関係の舞台裏」がテーマの一つ。徴用工問題で、韓国の文喜相・国会議長が両国の企業や国民の寄付で財団を設立し、そこからお金を支給する法案を国会に提出したが、この案については「(寄付が)本当に自発的で、最終的に韓国政府が責任を取るのであれば可能だが、事実上の強制だったら、請求権協定に違反してしまう」(松川)など、反対もしくは悲観論で終わった。

◆首脳会談開催を評価

 最後に24日、中国で行われる日中韓サミットに合わせ、安倍晋三首相が文大統領と約1年3カ月ぶりに会談することについて、3人の意見が一致した。まずは松川。「具体的に何かが決まることはない。とげとげしかった雰囲気を良くすることに意味がある」。なぜなら、北朝鮮問題への対応などで、日韓の関係は重要だからだ。

 森本も「徴用工、輸出管理、GSOMIAその他(課題は)あるが、北東アジアの状態が非常に不安定で先が見えない時、一番大事なことは原則に立ち返り、日米韓の同盟関係を緊密にすること。この3国の連携がきちっとしていないと、北東アジアで、われわれが繁栄を維持することができない」と訴えた。

 日頃はリベラルな発言が多いパックンも「米国が本来、ここ(日韓首脳会談)に入っているはずですよ。今回(両首脳が)中国で会うのは、米国にとってちょっとさびしい。日米韓の3カ国同盟が東アジアの地域安定につながる。そこに米国がいないのはみっともない」。文政権への不信はあっても、日韓米の連携の重要性を訴えることを忘れないのは、わが国の言論が比較的健全な証左である。

(敬称略)

(森田清策)