英国人は賭け好きという定評がある。ブック…
英国人は賭け好きという定評がある。ブックメーカーという賭け屋が、競馬やサッカー、さらには選挙やノーベル文学賞まで何でも賭けの対象にしてしまうことで知られている。国民性というしかない。
メイ首相は英国人らしく、欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票後の反EU世論の高まりを背に、解散・総選挙の賭けに打って出た。離脱交渉を有利に進めるため政権基盤を強固にしたいという訴えに有権者は理解を示してくれると踏んだようだ。しかしメイ首相率いる保守党は議席を減らし、過半数割れの敗北を喫した。
当初メイ首相にとっては、勝ち目の十分ある賭けだった。保守党の「地滑り的大勝」を予測する人も少なくなかった。それでメイ首相は油断したのか、高齢者介護費用の本人負担増大を公約。これには保守層も猛反発し、流れが変わった。
EU離脱の是非を問う国民投票では予測に反して離脱派が勝利。米大統領選でも大方の予想を覆して、クリントン氏ではなく、トランプ氏が当選した。選挙予測の難しさ、有権者の投票行動の複雑さをまたしても思い知らされる結果となった。
過半数を失ったとはいえ依然第1党の保守党を中心に連立工作は進められるだろうが、敗北のダメージは大きい。
ちなみに、大手ブックメーカーのオッズ(賭け金に対する配当の倍率)は、「メイ氏が首相にとどまる」について20分の1という辛いものだった。賭け屋恐るべしと言うべきか。