COP26 石炭火力廃止で声明 46ヵ国・地域が署名
日米中は不参加
英北部グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、温室効果ガスの排出対策を取っていない石炭火力発電の廃止を盛り込んだ声明に英独仏や欧州連合(EU)など46カ国・地域が署名した。COP26のシャーマ議長は、4日に英政府が主催したイベントで「石炭火力の終わりが見えてきたと確信している」と強調した。ただ、石炭火力に依存する日本や中国に加え、米国も署名を見送り、対応が分かれている。
声明は議長国の英国が主導。主要国は2030年代に、他の国は40年代に排出削減対策をしていない石炭火力を廃止することなどを盛り込んだ。署名国のうち、ポーランドや韓国、インドネシアなど23カ国は今回初めて廃止を表明した。一方、日本は今後も活用を続ける方針を維持しており、廃止を求める国際圧力が強まる可能性がある。
英国やカナダが主導する「脱石炭連盟」も3日、シンガポールなど7カ国が新たに加わり、計165の国・自治体・企業が参加したと発表した。日本では以前から京都市が加盟しているが、政府としては加わっていない。
日本は10月に閣議決定した新たなエネルギー基本計画で、30年度の電源構成に占める石炭火力の比率を約2割に設定。岸田文雄首相は今月2日にCOP26の会場で演説し、温室ガス排出を抑制できるとするアンモニアや水素を使う「ゼロエミッション(排出ゼロ)火力」をアジア諸国で推進する方針を表明した。
ただ一般的に、国際社会では、石炭火力の排出削減対策は、排出された二酸化炭素(CO2)を地下貯留する設備の整備を指す。日本政府が進めようとしているアンモニアや水素を活用する火力発電にはNGOから批判が出ており、今後、風当たりが強まる恐れがある。
(グラスゴー時事)