英国でコロナ変異種拡散の懸念 EU各国、往来を次々禁止
ワクチン接種も前倒しへ
英国で新型コロナウイルスの変異種が発見されたことを受け、欧州連合(EU)加盟国の多くが20日、英国との往来を禁止する措置を打ち出した。
フランス、ドイツ、イタリアは英国からのフライトを停止したほか、英仏海峡トンネルを往来する高速列車ユーロスターを停止。EU外でもカナダ、オーストラリアなどが英国からのフライトを停止した。
フランスは、20日深夜から48時間、貨物トラックを含む英国との全ての移動手段が停止され、英国側で数千台の大型トラックが足止めされている。クリスマス休暇で20日までにフランスに入国した旅行客は英国への帰国を心配している。
オランダは、来年1月1日まで英国からのすべての旅客便の乗り入れを禁止し、フェリーは貨物を除き、乗り入れを禁止した。アイルランドも英国から到着する便は深夜から少なくとも48時間にわたって禁止すると発表、フェリーは貨物に限定される。
ドイツも貨物便を除き、空路での英国からの到着便を20日夜に停止。ベルギーは20日深夜から24時間、英国からのフライトと列車を停止した。イタリアは来年1月6日まで英国からのすべてのフライトを停止。EU域外ではオーストラリアが英国からのフライトを禁止、カナダは、英国からのすべての旅客便の入国を72時間停止した。イスラエル、イラン、クロアチア、アルゼンチンなども英国からの渡航制限を発表した。
現在、英国ではワクチン接種が始まっている。EU内でも年末に接種を開始するが、変異種に対しても効果は変わらず、副作用も確認されていないと当局は強調している。
米製薬大手ファイザーのワクチンについてEU医薬品規制当局が21日、加盟全27カ国で使用することを承認、接種開始時期も前倒しされる見通し。欧州医薬品庁(EMA)は、英国と米国ですでに接種が始まっているワクチンの承認会合を1週間前倒しで開いている。
欧州委員会からの公式承認が出るのは24日になるとみられ、ワクチンの配布は早ければ27日、EU加盟数カ国に対して行われる見通しだ。
(パリ 安倍雅信)