中国に統一した対抗策検討―EU

香港国家安全法を非難

 欧州連合(EU)は13日、ブリュッセルで外相理事会を開き、中国政府が香港の統制を強化する「香港国家安全維持法」(国安法)を施行したことに対して、EUとして統一した対抗策を検討することで合意したことを明らかにした。ボレルEU外交安全保障上級代表(外相に相当)は、「香港の自治への支持を表明する」と強調した。(パリ・安倍雅信)

13日、ブリュッセルで、記者会見する欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)(AFP時事)

13日、ブリュッセルで、記者会見する欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)(AFP時事)

 新型コロナウイルス感染対策のさまざまな規制を緩和して経済復興に舵(かじ)を切ったEUとしては、中国との経済関係悪化は避けたいところ。しかし、ドイツのシュタインマイヤー大統領は、12日の独テレビ放送局ZDFとのインタビューで、国安法について「国際法の重大な違反であり撤回すべきだ」と述べ、中国政府を厳しく非難した。

 同大統領は、ドイツの対中姿勢が弱腰だと苦言を呈し、「怒りの限度を超えている」と強い不快感を示した。

 一方、国安法の施行を受け、香港の旧宗主国の英国のジョンソン首相は、英国の海外市民旅券保有者と申請資格保有者約300万人に、英市民権付与の道を開くと表明している。これに中国は強く反発している。

 フランスのルドリアン外相は、EU外相理事会前に「時期が来れば発表する措置を検討中だ」と述べ、他のEU諸国と同調して対応することを示唆し、ドイツと協調して輸出規制などの対抗措置を検討する意向を表明していた。

 ボレル氏は外相理事会終了後の記者会見で、香港市民へのビザ発効拡充や特定技術の香港への輸出規制などを検討していることを明らかにした。さらに香港との犯罪人引き渡し条約の見直しやEU域内への香港の学生の留学奨学金の拡充も検討するとした。

 ただ、中国本土への制裁は現時点では考えていないとしている。