中国が新型ICBM試射 米保守系サイト
10発の核弾頭搭載可能
中国が10発の核弾頭を搭載できる新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風5C」の発射実験を1月上旬に行っていたことが31日、分かった。米保守系ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」の軍事専門記者ビル・ガーツ氏が報じた。ミサイルは中国・山西省の太原衛星発射センターから発射された。
新型ミサイルは、複数の核弾頭を搭載した上で1発ずつ切り離し、それぞれ異なる標的を攻撃できる多弾頭各個目標再突入弾(MIRV)と呼ばれるシステムを備えている。MIRVは迎撃ミサイルですべてを打ち落とすことが難しいとされる。
米国防当局者は同サイトに、東風5Cの発射実験について「中国の戦略核の状況が劇的に変化したことを意味する」と語った。
中国はこれまでにも多弾頭ミサイルの開発を進めていた。2015年9月に行った軍事パレードでは、6~8発の核弾頭が搭載可能とされるICBM「東風5B」の配備を明らかにしていた。
国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー上級研究員は同サイトに「10発の核弾頭が搭載可能なミサイルの発射実験は、トランプ政権に対する中国の核による威嚇行動だ」と強調。さらに「中国が東風5Cを開発したことは、より小型化された核弾頭を作り出したことを強く示している」と語った。
米戦略軍のジョン・ハイテン司令官は昨年9月に行われた上院公聴会で「中国は複数の核弾頭を搭載するために長距離弾道ミサイルを再設計している」とし、「透明性を欠く軍事力の規模や核兵器に加え、多弾頭ミサイルの開発は地域の安定性に影響を及ぼし、警戒感と懸念を引き起こしている」と批判していた。
(ワシントン岩城喜之)