ムガベ大統領、辞任拒否
ジンバブエ、弾劾の可能性も
軍によって軟禁下にあるジンバブエのムガベ大統領(93)は19日、軍の将軍らを従えてテレビ演説し、自らが党首の与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU―PF)から突き付けられていた辞任要求を拒否した。
辞任表明を期待してテレビの前に集まった国民を前に、「数週間後に開催される党大会は私が主催する」と主張、与党や国民からの批判が出ていることを認めながらも、「世代間の対立は解決しなければならない」などと述べ、続投の意向を表明した。
軍による事実上のクーデターに対しても、「軍の最高司令官として、彼らの懸念は認める」とも述べ、国家元首としての立場を維持する姿勢を強調した。
ただ、これに先立ち与党はムガベ党首を解任、ムガベ氏によって突然解任されていたエマーソン・ムナンガグワ副大統領を党首に指名、次期大統領選の候補にも決定した。ムガベ氏が、これを覆すことは絶望的だ。
同党はさらに、大統領選出馬に意欲を見せていたグレース・ムガベ夫人(52)を除名処分して党から追放、ムガベ氏に対し、20日正午までに辞任しなければ21日に弾劾手続きを進めると警告しており、ムガベ氏の退陣は不可避とみられる。
ムガベ氏は1980年の建国以来、37年間にわたり権勢を振るい、強権統治を続けてきたが、次期大統領に妻のグレース氏を据えようとして軍や党、国民の反発を買っている。グレース氏は8月、南アフリカの女性モデルに暴行を加えるなどして話題になった。
(カイロ鈴木眞吉)