軍部によるクーデターか 、ジンバブエで兵士が放送局を占拠
アフリカ南部ジンバブエで15日午前2時すぎ(日本時間同午前9時すぎ)首都ハラレの国営放送局ZBCが兵士らに占拠された。英仏メディアなどが報じた。
首都ハラレの主要道路には軍の装甲車が展開し、ムガベ大統領の私邸付近で30~40発の銃声が聞こえたという。銃声は3~4分間続いたもよう。ハラレ中心部でも3回の爆発音が聞こえたとされる。
エジプトのCBCテレビは15日午前11時、ジンバブエの国軍がムガベ大統領夫妻を拘束した、と報じた。軍はさらに、議会をも管轄下に収めたという。軍用車両が議会周辺の道路を封鎖した。与党本部前にも、複数の軍用車両が停車している。
軍部によるクーデターの可能性がある。
ただ仏メディアによると、国軍将校が国営テレビを通じて演説し、大統領とその家族は無事だと説明、「軍が政府を乗っ取ったのではない」と強調した。「大統領周辺の犯罪者が標的だ」とも述べている。英メディアは、チョムボ財務相が拘束されたとも伝えている。
ムガベ大統領は6日、「不誠実な態度を取った」として、ムナンガグワ第1副大統領を解任した。それに対し、チウエンガ国軍司令官が13日、軍幹部ら90人と共に記者会見し、「粛清を止めなければ軍は介入せざるを得ない」との声明を出して、ムガベ大統領を批判しており、「クーデターが起きるのではないか」との不穏な空気が流れていた。
一方、与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)は国軍司令官を「反逆行為だ」と批判、緊張が高まっていた。
ムガベ氏(93)は1980年の独立以来、実権を掌握し続けている世界最高齢の首脳で、2018年実施予定の次期大統領選挙で7選を目指している。
ただ、今回の第1副大統領解任により、ムガベ氏の妻のグレース氏(52)が、ポスト・ムガベの最有力候補に浮上しており、ムナンガグワ氏支持派は反発を強めていた。
(カイロ鈴木眞吉)