参院選結果、野党共闘に関心薄れる有権者


 第25回参院選挙の結果が確定した。自民・公明の与党が改選過半数を確保し、引き続き安倍政権が安定した基盤を衆参両院で得たが、投票率は戦後2番目に低い48・8%に終わった。「政治の安定」を掲げた与党優勢の予測が支配的だった上、基本政策に乖離(かいり)のある野党共闘への有権者の関心は薄く、政権交代にも程遠い。

解消されない政策的矛盾

 投票率が50%を割ったのは24年ぶりのことで、1995年の44・52%が最低だった。当時はイデオロギー対立で基本政策が「水と油」の自民党と社会党が連立を組む村山内閣であり、与党側の政策矛盾について国民の政治不信が非常に高まった時期だった。

 野党共闘もまた政策矛盾を抱えている。前回の参院選で、安全保障関連法をめぐって共産党と民進党を中心に野党共闘が行われ、初めての挑戦として注目された。しかし、政策的矛盾は解消されないままだ。

 特に、国の基本政策となる安全保障について、日米安保条約破棄・自衛隊廃止の立場を変えていない共産党と、安保条約を維持し自衛隊を存続させる立憲民主党や国民民主党の政策の違いを与党側から批判された。

 他に今回の争点となった年金問題や消費増税をめぐっても、マクロ経済スライド、消費税に否定的な共産と「社会保障と税の一体改革」で消費増税の道を開いた民主党の流れを汲(く)む立憲、国民など共闘を組む各党の違いがあった。

 これでは野党が共闘を組むことで、かえって党独自の政策が有権者の信頼を得にくくなると言わざるを得ない。

 結果も芳しくない。野党統一候補が改選1議席の32の選挙区に擁立されたものの、勝敗は与党が前回より1議席増やして22議席、野党共闘側が1議席減らす10議席で、与党側にダブルスコアの圧勝を許している。全体の選挙結果では、民進から分かれた立憲と国民合わせても23議席で、前回惨敗した民進の議席にも届かなかった。

 立憲の枝野幸男代表は、前回の野党共闘と比べて「最大限の力を発揮できる方向に大きく前進した」と評価するが、むしろ後退だ。このままでは民主党時代のような二大政党を展望する大きな政党になるには程遠い。

 まず、野党共闘は統一候補を各党派で棲(す)み分ける調整により党公認が制限される。今回は立憲7、国民6、共産1、無所属18だが、当選したのは無所属8人、立憲1人、国民1人という結果だった。

 しかも、無所属候補への注目が大半を占めるため、政党色を薄めて政権批判票を動員しようとする党隠しの運動に候補者陣営は奔走することになる。

 「反自民非共産」で再編を

 今回の低投票率は、野党共闘に政策矛盾を感じ、将来、政権交代に期待が持てない無党派層が選挙に関心を失ったことが大きな要因とみるべきだろう。

 前回の「民共」野党共闘で民進党は分裂したが、今回さらに減退している結果を直視し、90年代の政治改革世論を背景に模索された「反自民非共産」の枠組みへと改めて野党再編がなされるべきである。